2015 Fiscal Year Annual Research Report
動的地震破壊の包括的理解―破砕、摩擦発熱、熱・流体拡散、脱水反応に焦点をあてて
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25400440
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (10114696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀 伸樹 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90304724)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脱水反応 / ダイラタンシー / 摩擦発熱 / スロースリップ / 流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに行われた1次元モデルを拡張し、本年度はスロースリップイベント(SSE)についての2次元モデリングを行った。モデル化にあたっては、流体拡散、摩擦発熱、ダイラタンシー、脱水反応と滑りの間の相互作用を仮定した。本計画期間中のこれまでの成果を総合すると、次の条件が満たされる時に、小さな滑り速度が長期継続し、SSEのモデルとなりうることがわかった。即ち、(1)ダイラタンシーの程度が大きいここと、(2)脱水反応に伴い空隙率が増大すること、(3)応力降下量が低いこと、(4)透水性が高いこと、などである。(3)は、SSEについての顕著な特徴でもある。これから、ダイラタンシーと脱水反応のカップリングが滑り発展を抑制し、高い透水性が滑りを持続させることがわかる。冷たい沈み込み帯下部よりも、暖かい沈み込み帯下部でSSEが高頻度で発生する理由は、ダイラタンシーの規模が後者の方が大きいからだと推測される。 地殻浅部で発生する群発地震についての最近の研究では、非地震性滑りとカップリングした事例が多く報告されている。これは現象論的には、SSEとカップリングした微動と大変類似しており、発生機構の類似性をうかがわせる。そこで、地震現象の包括的理解を目指し、本研究計画で開発したモデルが群発地震の理解にどこまで適用可能かについての考察も本年度に行った。なお、このモデル化にあたっては2次元準静的モデルを仮定した。このモデルでは、ダイラタンシーの発生が滑り発展を抑制し、そのため大規模地震に発展することはなく、群発地震のモデルとなりうる。また、ダイラタンシーにより周辺領域からすべり帯に向けて流体の流入が起きるが、滑り弱化領域は、常に高応力状態を維持しているため、この流体流入により継続したクリープ状の滑りが発生する。これが、群発地震とカップルした非地震滑りとして理解できよう。
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Research Products
(2 results)