2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400459
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
小林 直樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (30272660)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | InSight / 火星 / 内部構造 / 地震波 / 自由振動 / 脈動 / 励起 / 探査 |
Research Abstract |
本研究課題では初の本格的火星内部構造探査 InSight の主力機器である広帯域地震計の記録から火星内部構造の情報を引き出すための手法と計算コードを開発することが目的である.即ち,火星大気の擾乱によって励起される火星の常時自由振動・脈動をInSightが提供する地震計データを用いて解析し,常時自由振動・脈動データから火星の内部構造の知見を引き出すための準備を行なうことである.その目的のために先ず提唱されている火星内部構造モデルをサーベイし,それぞれの思想と特徴においてモデル群を分類しそれぞれの代表モデルを構築することを行なった.そして現在提唱されている代表的な火星モデルを用いて自由振動モードの計算を広範囲に行なった.計算に用いたモデルはSohl and Spohn (1997)の火星内部構造モデルA, Bである.Model Aは測地学的なデータに基づく慣性モーメントの推定値を制約としたモデル,Model BはSNC隕石の化学組成を基にFe/Si=1.71に制約したモデルである.これらの二つのモデルについて周期30秒以上の伸び縮み自由振動のモードを計算した.用いた自由振動計算法はKobayashi (2007)で非弾性の効果をモデル化した方法である.Model AとBは互いに良く似ているが,コア半径と地殻厚に顕著な違いがある.得られた自由振動の分散関係はそのモデルの違いを反映している.周期500秒以上のコアを感じる長周期モード,地殻厚の影響の大きな周期100秒以下の基本ブランチで分散関係にモデル間の違いが見られた.この自由振動モードを用いて火星大気圧の観測データを用いて常時自由振動を計算した.これらの結果は仏,米で行なわれたInSightのサイエンス会議において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表的な火星モデルのエンドメンバーに関して自由振動モードを広範囲に計算しデータベース化ができたので概ね進展している.しかし,年二回開催するInSightのサイエンス会議への出席のための旅費により,データストレージシステムの購入資金が不十分となりその購入を次年度に回すこととした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に購入を延期したストレージシステムの購入を早急に行なう.平成26年度もInSightのサイエンス会議が欧州と米国でそれぞれ開催されるので,その旅費を考慮し,成果達成に影響の無い範囲でストレージシステムのスペックの見直しをし,夏までに購入する.ストレージシステムの購入後,予定とおり脈動スペクトルから構造推定のための逆問題の定式化に進む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年二回開催されるInSightのサイエンス会議に出席するための旅費により,初年度に購入予定であったストレージシステムの購入資金に不足が出たため. 平成26年度もドイツ,米国でInSightのサイエンス会議が開催される.そのため,課題達成に影響の出ない範囲でストレージシステムのスペックを見直し,夏までにその購入を行なう.
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