2016 Fiscal Year Annual Research Report
Variation characteristics of entropy production in geophysical phenomena
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25400465
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小澤 久 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (30371743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 信也 国立研究開発法人防災科学技術研究所, その他部局等, 総括主任研究員 (40360367)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱帯低気圧 / 熱対流 / エントロピー生成率 / 散逸率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,主に以下の2つの研究を行った。 高温の海水面と低温の大気上層の温度差の下で発達する熱帯低気圧(台風)の形成機構と経路の特徴を熱力学的に研究した。その結果,熱帯低気圧は,海面水温が27°C以上の場合,2-3日で急速の発達する事,そして定常状態での強度と中心気圧は,循環運動に伴うエネルギー散逸率(エントロピー生成率)が最大になる条件から説明できることが分かった。また,過去20年間の北太平洋の熱帯低気圧の経路を解析した結果,熱帯低気圧は平均的に見て,3-4hPa中心気圧が低くエネルギー散逸率の大きい経路を通る傾向があることが分かった。これらの結果から,熱帯低気圧は高温の海水面と上空の温度差に駆動される循環運動であること,そしてその強度と経路の特徴が熱力学的な散逸率の観点からある程度まで説明できることが分かった。 また,太陽の短波放射による地表の加熱と,長波放射による大気上層からの冷却の下で発達する大気中の熱対流とその熱輸送過程を熱力学的に研究した。その結果,対流熱輸送に伴うエントロピー生成率が最大になる条件から推定される熱輸送率と温度分布が,観測結果と良く合う事が分かった。また,放射による地表の加熱率が変化した時の地表温度の応答を,同じ条件から推定した所,推定された応答が観測結果や数値モデルシミュレーションの結果と良く合うことが分かった。これらの結果は,大気中の熱対流とその変動特性が,エントロピー生成率が最大になる傾向から理解できる可能性を示している。以上の成果の一部は,ドイツとオランダで開催された国際ワークショップで発表された。
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Research Products
(6 results)