2014 Fiscal Year Research-status Report
黒潮続流域の混合層内不安定が励起するサブメソスケールの時空間変動
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25400473
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 英治 独立行政法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 主任研究員 (50359220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 義一 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, グループリーダー代理 (40419130)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋サブメソスケール / 高解像度海洋シミュレーション / 海洋生態系 / 季節変動 / スケール間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球シミュレータを用いて水平解像度1/30度の高解像度で実施した2000年から2003年までの北太平洋シミュレーションの2001年から2002年のデータセットを用いて、冬季の北西太平洋で大気に冷却されて深くなる海洋の混合層内で活発になるサブメソスケール現象に注目して解析を行った。その結果、サブメソスケール現象は、渦同士の合体などのスケール間相互作用によって、小さなスケールから大きなスケールへ運動エネルギーが遷移される逆カスケードによって、数ヶ月間の長時間にわたって中規模渦など大きなスケールの現象とそれらの季節変動に多大な影響を及ぼすことが明らかになった。また、その成果は、Nature Communication誌に掲載された(Sasaki et al., 2014)。 水平解像度1/30度の北太平洋シミュレーションの2002年から2003年の2年間には、簡易生態系モデルが組み込まれており、サブメソスケール現象を含む海洋循環場が海洋生態系に及ぼす影響を直接調べることが出来る。そこで、亜熱帯域と亜寒帯域での海洋生物活動についてサブメソスケール現象からの影響に注目して解析を行った。その結果、亜熱帯域では春季に混合層内、夏季に約50m深の亜表層で生物生産が活発で、その水平分布にはサブメソスケールの微細構造が確認でき、衛星観測で度々観測されている分布と同様であった。季節によって生物生産が活発な深度が異なることは、係留系の観測データと一致していた。一方、亜寒帯域では、春季における混合層内の生物生産が卓越しており、亜熱帯域と異なる様相であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
黒潮続流域を含む北西太平洋域のサブメソスケール現象の季節変動とスケール間相互作用の成果をNature Communication誌で出版することができた。また、海洋生態系モデルを組み込んだシミュレーションデータの解析を開始し、亜熱帯域と亜寒帯域で異なる生物活動が起きていることを捉えた。
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Strategy for Future Research Activity |
黒潮続流域を含む北西太平洋域を対象に実施したサブメソスケール現象の解析を、北太平洋の他の海域でも実施し、サブメソスケールの季節変動とスケール間相互作用の空間分布を調べる。 海洋生態系モデルの解析で捉えた亜熱帯と亜寒帯の異なる生物活動について、物理場との関連を調べる。
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Causes of Carryover |
海外研究協力者との打合せのための海外出張の際、研究協力者の所属機関から宿泊代の補助の提供を受けた。また、論文の投稿料、オープンアクセス費用の一部を他の研究助成金で負担したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シミュレーションデータの解析、論文執筆を海外研究協力者と実施するため、外国出張旅費として使用する予定である。また、論文投稿料に使用予定である。
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Remarks |
研究代表者の所属機関であるJAMSTECから2014年12月15日に研究成果をプレスリリースし、その成果は日刊工業新聞(2014年12月26日:海洋循環の季節変動、北太平洋に発生する小さな渦が影響-海洋機構が解明)、科学新聞(2015年1月1日:北西太平洋の微小な渦が海洋循環に大きな影響 海洋機構「地球シミュレータ」で解明)に掲載された。
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