2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400476
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長井 嗣信 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60260527)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 磁気リコネクション / 磁気圏尾部 / サブストーム / オーロラ / 宇宙プラズマ |
Research Abstract |
磁気リコネクションの3次元構造を調べるために、第一に、人工衛星Geotailにより1996年より2012年に観測された磁気圏尾部の30例の磁気リコネクションについて、磁場とプラズマ運動のマクロの構造について解析した。マクロ構造については東西方向について有意な差異は認められないため、磁気リコネクションのマクロ構造が、磁気圏尾部の地球半径の8倍程度の規模の東西方向について一様であるとみなされる。次に、ミクロ構造についてのイオンの速度分布関数を解析し、明らかな東西方向での差異があることを明らかにした。イオンは、磁気リコネクションの電場で加速されるために、東向き(夕方の方向)に運動しているが、夕方側でのイベントでは、反対に西向き(磁気圏尾部の中央向き)に運動している。これらの解析より、磁気圏尾部での磁気リコネクションは、夕方端に明確な境界に持ち、ほぼ8倍に地球半径の東西幅を持ち、磁気圏部尾部の中心である真夜中から夕方側に位置して起きることが確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の課題は、磁気リコネクションの3次元構造の解明である。これまでの解析は、磁気圏尾部の軸方向の鉛直2次元平面内(地球を中心として太陽方向をx、北方向をzとしたときにxz断面)についてが、おもな解析であった。本年度の解析は、磁気圏尾部の赤道2次元平面内(これまでに解析されてきた面に垂直の、先の座標系のxy断面)についての解析が行われ、マクロ構造の変化よりミクロ構造の変化が、決定的であることが示せた。このことを前提に、もう1度、3次元的な構造をミクロ的な視点から解析する重要性が示せたので、今後の研究方向を固めることができる有意義な成果を得ることができた。個々の現象の解析とともに、磁場とプラズマ観測からのデータの校正も順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気リコネクションの3次元構造は、マクロな構造の変化を見つけることが難しく、しかし、ミクロな構造については、東西方向に明らかな差異があることが解明できた。今後の方針は、従来予想していたことではあるが、よりミクロな構造の解析から解明していくことが、重要であるという認識が生まれた。したがって、イオンと電子の速度分布関数の解析を中心として行っていく。前年度までの解析では、赤道面内でのイオンと電子の運動について中心に解析を行ったが、今年度は、赤道面から離れた場所での解析を進めることにより、より3次元性を明確にすることを目標とする。このためには、磁場とプラズマの観測データの正確な校正が欠かせないため、このことについても、従来と同じく進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2つの論文を発表したが、かかる経費については、共著者の所属機関からの経費となり、論文発表に伴う経費がかからなかった。さらに、研究を進めていくうえでの消耗品も、特に経費として計上する必要のない中で、やりくりすることができた。したがって、物品費として計上していた部分について、倹約できた。 研究を進め行くための経費(特に速度分布関数の解析のためのカラー印刷等)については、消耗品の予備がなくなりつつある状況であり、特にこの方面に研究を移すことも鑑み、物品費を拡充する。
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Research Products
(4 results)