2014 Fiscal Year Research-status Report
太陽圏終端衝撃波のミクロ~メゾスケール構造と粒子加速
Project/Area Number |
25400479
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松清 修一 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (00380709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PIC計算 / 太陽圏外縁 / ピックアップイオン / 準垂直衝撃波 / 衝撃波ドリフト加速 / リップル構造 / 不安定性 / 高ベータ値 |
Outline of Annual Research Achievements |
25年度に行った1次元PIC計算の結果をもとに、26年度は2次元PIC計算を開始した。太陽圏外縁領域に多く存在するピックアップイオン(PUI)は太陽風プラズマよりもはるかに高温であり、そのためこの領域のプラズマは実効的に高ベータ値を取る(ベータ値=プラズマ圧/磁気圧)。ここでは、高ベータプラズマ中の準垂直衝撃波を2次元PIC計算で再現し、その基本構造と粒子加速過程について調べた。当初の計画では、PUIを含んだ垂直衝撃波の2次元計算から始める予定であったが、1次元計算で見られた衝撃波ドリフト加速を伴う粒子の反射過程は垂直衝撃波では起こりえない。加速のカギを握る反射過程に注目するため、準垂直衝撃波の2次元計算を行った。ただしここでは、PUIを含まない高ベータプラズマ衝撃波の計算を行った(準垂直衝撃波で粒子の反射が起こるとすると、かなり大きな計算領域が必要になると予想されたため)。 1次元計算と同じく、衝撃波構造は概ね定常的で、準垂直衝撃波の特徴である、フット、ランプ、オーバーシュート、アンダーシュート、などの構造が見られた。1次元計算と大きく異なり、遷移層でさまざまな波動が励起された。フットでの変形2流体不安定性、オーバーシュートから下流にかけてのアルフベンイオンサイクロトロン不安定性(AICI)に加え、磁力線方向に伝搬する高周波波動を確認した。ここでの場合、AICIは衝撃波面の空間的な揺らぎであるリップル構造に帰結する。粒子加速に関しても大きな違いがあり、1次元計算では上流からの入射電子の一部が衝撃波の磁場構造によってミラー反射して加速される、衝撃波ドリフト加速が見られたが、2次元計算では反射が起こらなかった。これは、リップル構造に伴って衝撃波面に弱磁場領域が形成され、反射過程の途上にある粒子もこの弱磁場領域から下流へ透過していくためであることが、粒子の軌道解析からわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の結果を踏まえて数値実験の初期設定を変更したが、予定通り多次元計算を開始することができた。ピックアップイオンを含まない高ベータ準垂直衝撃波の2次元基本構造を明らかにし、粒子加速に対する多次元効果の重要性についての認識を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度までの計算結果を精査し、ピックアップイオンを陽に含んだ系での多次元計算を行う。ピックアップイオンのダイナミクスが、リップル構造や粒子加速に対してどのような影響を与えるかを明らかにし、研究を総括する。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通り使用した。次年度使用額(1,967円)は端数とみなせる額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は計画通りに予算を執行予定である。次年度使用額は、現在準備中の論文の掲載料の一部として使用予定である。
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Research Products
(24 results)
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[Presentation] 激光XII 号レーザーを用いた無衝突衝撃波の実験的研究2014
Author(s)
T. Morita, Y. Sakawa, T. Ishikawa, Y. Yamaura, T. Sano, T. Moritaka, K. Tomita, R. Shimoda, Y. Sato, S. Matsukiyo, S. Isayama, D. Harada, T. Oyama, R. Fujino, Y. Kuramitsu, H. Yoneda, K. Nagamine, M. Koenig, R. Yorchak
Organizer
日本地球惑星科学連合大会2015
Place of Presentation
横浜市
Year and Date
2014-04-28 – 2014-05-02
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[Presentation] 大型レーザーを用いた無衝突ワイベル衝撃波の生成2014
Author(s)
Y. Sakawa, T. Morita, Y. Kuramitsu, T. Kato, T. Moritaka, T. Sano, K. Tomita, S. Matsukiyo, N. Ohnishi, A. Mizuta, N. Woolsey, G. Gregori, M. Koenig, A. Spitkovsky, C. Huntington, N. L. Kugland, J. S. Ross, H-S. Park, B. Remington, H. Takabe
Organizer
日本地球惑星科学連合大会2015
Place of Presentation
横浜市
Year and Date
2014-04-28 – 2014-05-02
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