2015 Fiscal Year Annual Research Report
太陽圏終端衝撃波のミクロ~メゾスケール構造と粒子加速
Project/Area Number |
25400479
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松清 修一 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (00380709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 終端衝撃波 / ピックアップイオン / 非熱的粒子加速 / 波動粒子相互作用 / リップル |
Outline of Annual Research Achievements |
ピックアップイオンの影響で実効的に高ベータ(衝撃波上流のプラズマ圧>磁気圧)ピックアップイオンの影響で実効的に高ベータ(衝撃波上流のプラズマ圧>磁気圧)となった準垂直終端衝撃波の2次元計算を行った。26年度に、2次元化の影響で衝撃波面の空間的揺らぎであるリップル構造が見られ、これによって1次元計算で見られた電子のミラー反射が抑制されることを確認している。新たに行った計算で、遷移層の電子分布関数を詳細に調べた。通常、衝撃波によるミラー反射は加速(衝撃波ドリフト加速)を伴うが、ミラー反射が抑制されるにもかかわらず、局所的な粒子加速機構が働いていることを示唆する、非熱的成分が見られた。この非熱的電子の挙動を詳細に調べた。電子は加速時に、主に磁力線に対して垂直方向のエネルギーを得ており、これは衝撃波ドリフト加速の特徴と明らかに異なる。また加速を受ける間、衝撃波面の限られた領域に留まることも分かった。この領域では、遷移層での背景電子の温度異方性によって励起されるホイスラー波が、局所的な磁力線に沿って励起されていることを確認した。電子の挙動は、磁力線に平行および反平行方向に伝搬するホイスラー波との相互作用によって徐々に加速されていることを示唆している。一連の過程は、イオンスケールのリップル構造の中で起こるもので、電子の衝撃波加速への注入機構として普遍的な重要性を有している可能性がある。研究を深化させ、加速時の対流電場(衝撃波面に沿う方向の構造的電場)の果たす役割、平行衝撃波でのイオン加速モデルとして知られる捕捉イオンモデルとの共通点・相違点の精査など、さらに詳しい解析が必要である。
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