2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
脇田 浩二 山口大学, 理工学研究科, 教授 (80358366)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 秋吉帯 / ペルム紀 / 付加体 / 錦層群 / 後背地 / 海洋プレート層序 / 放散虫化石 / ジルコン年代 |
Research Abstract |
本年度は,秋吉帯東部の錦層群を中心に調査を実施し,岩相と層序を明らかにするとともに,砂岩の試料採取を行い,ジルコンによるU-Pb年代の測定を行った。地質調査を実施したのは,山口県周南市鹿野から岩国市錦町柳瀬にかけての地域で,錦層群が広く分布している。錦層群は,高圧型の変成岩である周防変成岩類の構造的上位に低角の断層を界して累重している。主として厚層から塊状の砂岩からなり,砂岩泥岩互層や酸性凝灰岩,チャートなどを伴う。秋吉帯西部では石灰岩を主体とした浅海相が卓越しているが,錦層群にはチャートなど遠洋性堆積物から粗粒堆積物に至る上方粗粒化をした海洋プレート層序の繰り返しから構成される。ジルコン年代測定では,調査地域西部の周南市鹿野下合の川地域から一試料,調査地域東部の岩国市錦町木谷川沿いから一試料を選んで,測定した。当初の計画では,産業技術総合研究所の機器を利用して年代測定を実施する予定であったが,当該研究所の都合で実施できなくなり,年代測定を株式会社京都フィッション・トラックに依頼した。測定結果は,前者が268.7+-2.1,後者が267.5+-2.3とほぼ類似した結果が得られた。同時に実施したLA-ICP-MS-FT年代では,前者が28.+-24,後者が203+-13であった。結晶数は共に30と数的には不十分であるが,結果が非常に類似していることから,年代値は堆積年代を示していると考えられる。今後は後背地やチャートの年代を明らかにして,秋吉帯の構造発達史を海洋プレート層序の観点から明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
錦層群の地質調査が十分に実施された他,岩石試料の採取も順調に行われた。ただし,ジルコン年代測定を株式会社京都フィッション・トラックに依頼したため,年代測定数が不十分になった点が残念である。しかし,年代値そのものは予想した範囲にあり,2試料が非常に類似した値を示しているため,十分に満足のできる結果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
調査範囲を広島県東部から岡山県北部に広げ,秋吉帯西部より深海相を含む地域での海洋プレート層序の実態を明らかにするとともに,これらの地域に分布する石炭紀のチャート層とペルム紀のチャート層の関係を解明し,海洋プレート層序の破断・変形プロセスについて新たな知見を得るべく検討を進める。また,今回調査を進めた錦層群の砂岩組成の解析をすすめ,後背地についての解明を進める。
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Research Products
(3 results)