2013 Fiscal Year Research-status Report
北太平洋地域における中生代最末期の海洋生物相の解析
Project/Area Number |
25400502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
重田 康成 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (30270408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 白亜紀 / 中生代最末期 / アンモナイト / 絶滅 / 化石層序 |
Research Abstract |
北太平洋地域の中生代最末期の海洋生物相を理解するために、平成25年7月8日~7月21日までアラスカにおいて、また平成25年10月12日~10月17日まで北海道において、白亜系の地質調査を行った。いずれの地域においても、高精度のルートマップと柱状図を作成し、地質構造、岩相層序、堆積相、化石の産状について詳細な観察を行い、岩石・化石試料の採集を行った。 その結果、アラスカ南部のタルキートナ山地のアルフレッドクリーク沿いの地層から、白亜紀最上部のマストリヒチアン階下部を特徴づけるアンモナイト群集を幾つか発見した。これらの群集は既に大阪・和泉山地や北海道・穂別地域から知られていたが、これらの地域では地層の分布が断片的であるため、これまで群集間の時代関係については不明であった。今回、これらの群集が連続セクションで観察できたことから、群集間の時代関係が明確になった。また、北海道や大阪と共通するゴウドリセラス科アンモナイトが多産することを確認し、これらのアンモナイトが北太平洋地域のマストリヒチアン階の高精度化石層序に有効であることを確信した。北海道・厚岸地域の最上部白亜系の地質調査の結果、マストリヒチアン階中部から上部までのアンモナイト群集が確認できた。 平成25年度以前に申請者が採集した試料やデータを再検討した結果、北海道のカンパニアン階から新属新種のアンモナイトを見いだし、学術雑誌に発表した。また、北海道・日高地域から、カンパニアン階を特徴づけるアンモナイト群が多産することが判明し、現地調査を行うとともに、その概要を日本古生物学会で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は平成16年と20年にアラスカ南部・タルキートナ山地で地質調査を実施した経験があり、その時得られた予察的なデータが今回の調査地域の選定に大いに役にたった。また、現地調査の進行具合は、天候や林道の状態に大いに左右されるが、幸い天候にめぐまれ、また林道も問題なく通行できたため、順調に調査を遂行することができた。一方、10月に北海道・中頓別地域の地質調査を計画していたが、平成25年度はエゾシカ猟の解禁が10月1日となり、そのため国有林内への入林許可証が得られず、調査を断念した。エゾシカ猟の解禁日は例年11月1日であったが、エゾシカの増加のため、平成25年度は1ヶ月早まった。このため、予定を変更して、北海道・厚岸地域や日高地域の地質調査を行った。調査で得られた化石試料は、国立科学博物館において、順調に剖出作業を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、野外調査として、アラスカ南部のタルキートナ山地および北海道で白亜系最上部の地質調査を行う。高精度のルートマップを作成し、地質構造、岩相層序、堆積相、化石の産状について詳細に調べる。特に、大型化石の種構成や各種の層序分布を明らかにするため、すべての層準から大型化石の採集に努める。室内研究としては、地質調査のデータを総合的にとりまとめて岩相層序を把握すると共に、採集した化石の剖出作業や分類学的研究を進める。なお、何らかの理由で野外調査が困難となった場合は、アメリカ地質調査所や国立科学博物館に保管されている化石試料を用いて、化石の分類学的研究や生層序学的研究を行う。 平成27年度は、アラスカ南部のタルキートナ山地および北海道において、これまでの地質調査の補足調査を行い、岩相層序、堆積相、大型化石の種構成や各種の層序分布を明らかにする。採集した化石の剖出作業を行うと共に、地質調査のデータを総合的にとりまとめて岩相層序を把握する。国内外の研究機関を訪問し、タイプ標本や参考標本の観察、写真撮影、型取り作業を行い、採集した化石の分類学的研究を進める。本研究の成果を、関連する学会や集会において発表すると共に、学術雑誌などで公表する。
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