2015 Fiscal Year Annual Research Report
前期ペルム紀巨大オンコイドの形成とパンサラッサスーパープルームの影響に関する研究
Project/Area Number |
25400503
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中澤 努 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究グループ長 (50357620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 勝美 福岡大学, 理学部, 教授 (90241786)
川幡 穂高 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (20356851)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペルム紀 / 秋吉石灰岩 / ゴンドワナ氷床 / 気候期転換 / 造礁生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴンドワナ氷床が衰退する気候期転換期にパンサラッサ海域の海洋島で礁生態系がどのような応答をしたかを検討した.当該年度は,ゴンドワナ氷床が衰退して温暖になったと考えられる中期ペルム紀の礁成石灰岩(礁中核部の石灰岩)を秋吉石灰岩から新たに見いだし,大型研磨標本の観察をもとに礁構造を記載した.その結果,この礁成石灰岩には石灰海綿を中心とした原地性礁構造が保存されていること,そして既報の同時期のラグーンの石灰海綿マウンドと比較して,大型の石灰海綿が多く,個体間に微生物によるバインディングが発達し,堅牢なフレームワークを形成していたことが明らかとなった.これにより中期ペルム紀はパンサラッサ海域の海洋島においては石灰海綿が主体となって礁を形成していたことが確実となった.これまでの我々の調査を総合すると,秋吉石灰岩をはじめとするパンサラッサ海域の海洋島の礁では,ゴンドワナ氷床の最盛期である石炭紀最後期からペルム紀最前期にかけては北方要素である石灰藻類Palaeoaplysinaが主要な造礁生物であったが,ゴンドワナ氷床が衰退する気候期転換期にはPalaeoaplysinaが衰退し,それに伴い相対的に微生物類が多くなり,巨大オンコイドも形成された.そして中期ペルム紀には温暖域に多いとされる石灰海綿が造礁生物として卓越するようになった.つまりこの時期のパンサラッサ海洋島の造礁生物群集は長期の気候期転換に極めて従順に応答したことが明らかになった.この結果について国際誌に論文を発表した.また,秋吉台北山で掘削採取したコア試料についてはフズリナ化石に基づく層序を検討し,それをもとに気候期転換期の微生物岩(microbialite)の層序分布を明らかにし,結果は国際会議で口頭発表した.
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