2013 Fiscal Year Research-status Report
複数種斑晶の拡散現象を用いたマッシュ状珪長質マグマ噴火準備・誘発モデルの高精度化
Project/Area Number |
25400509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 由希 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (00374918)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新燃岳2011年噴火 / 準プリニー式噴火 / 見かけ密度 / 脱ガス / マグマ混合 / マグマ供給系 |
Research Abstract |
本研究では、新燃岳2011年噴火に関わったマッシュ状低温マグマに関連し、3つのテーマを挙げた。テーマ-1は、2011年噴火に直結した最終的な高温マグマの注入が、間欠的に起きた噴火毎に発生したか検証することであった。間欠的噴火とは、1月26日午後から1月27日午後にかけて起きた3度の準プリニー式噴火である。2度目の噴火以降に現地調査が始まったため、1度目と2度目の境界は分かっていなかった。この境界特定は、テーマ2や3とも関連する。そこでは、過去数年~数百年に渡る高温マグマ注入履歴を調べ、それらによるマッシュ状低温マグマの流動性向上が、最終的な噴出順序を左右した可能性を検証することになっている。そこで境界の特定により、テーマ-2や3で提案するモデルを具体的にすることが出来る。 境界特定のため、網羅的に採取された準プリニー式噴火の本質物質(軽石の他、共存する、より緻密な粒子)の見かけ密度測定を行った。1度目と2度目の準プリニー式噴火堆積物は、下位からLayer2,3,4と分類され、各々をlowerとupperのサブユニットに分類した。見かけ密度はLayer2からLayer3-lowerまでは一定であり、Layer3-upperで増加し、より上位で減少する。1度目と2度目の噴火の間の停滞期には、火道上位には脱ガスの進んだ緻密なマグマ、下位は脱ガスの進んでいない発泡マグマが停滞していた可能性が高い。それゆえ、Layer3-upper以降を2度目の準プリニー式噴火と提案した(Suzuki et al. 2013; IAVCEI 2013等の学会発表)。見かけ密度による検討は、一見、本研究のテーマから外れたもののように見える。しかしテーマ-1のような噴火直前のマグマ混合時期を議論する場合、火道でのマグマ上昇プロセスも考慮する必要があるので、意味のある作業であった。 以上の他、本研究課題の重要な基礎である、2論文の公表を済ませた(Suzuki et al., 2013a, Earth Planets and Space; Suzuki et al., 2013b, JVGR)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本申請課題における、斑晶累帯構造を用いた解析は、以下二つの理由で遅れている。一つは、2011年新燃岳噴火における1度目と2度目の準プリニー式噴火の堆積物境界の特定に時間がかかったことである(境界特定の申請課題における重要性や、その結果については研究実績をご参照下さい)。もう一つの理由は、2013年度途中で、代表者の異動が決定したことである。異動先にも同等のEPMA(WDS)がある。一つの研究には同じ装置を使用した方が良い上、今後は学生との共同作業も行うため、2013年度中に分析を開始することが難しくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年4月時点で、代表者の研究室で卒論を始める学生が最大で5人予定されているため、興味を持った学生には、本課題を分割してテーマとして与え、研究の加速をはかりたい。 2014年度は、本研究の3つのテーマ(研究実績の概要参照)の内、テーマ1(噴火直前の混合解読)とテーマ2(噴火数年前の混合解読)を平行して進める。テーマ1とテーマ2は、同じ噴出物(1月26日午後から1月27日午後にかけての3つの準プリニー式噴火と、1月末にかけて定置した溶岩)を対象としつつ、磁鉄鉱と斜方輝石という別の斑晶を研究対象とするので、EPMA(WDS)分析を行うまでの作業は共通している。この共通性を活用し、作業を効率良く進める。テーマ1の解析にあたっては、火道での上昇プロセスも考慮する必要があり、見かけ密度は上昇プロセスを反映している(研究実績の概要)。そのため、見かけ密度で代表的な粒子を解析に用いる。これまでに測定したサンプルで足りない場合、特に大きな粒子について、追加で見かけ密度測定を行う必要があると予測する。 異動先にあるLaB6電子銃を使用可能なEPMAを最大限活用する。通常のフィラメントよりも電子ビームを絞ることができる。そのため本課題が解析の対象とする、斑晶中の拡散記録を、スポット分析や、マッピング分析によって高い解像度で分析できるものと期待する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度途中で2014年度からの異動が決定したため、2013年度所属でEPMA分析を開始することが難しくなった(現在までの達成度も参照)。そのため分析用薄片の消耗品の一部と、データ保存用HDを次年度に購入させて頂くこととした。 前述の消耗品の他、異動のため新たに必要になった岩石粉砕器具並びに篩を、購入したい。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Precursory activity and evolution of the 2011 eruption of Shinmoe-dake in Kirishima volcano-insights from ash samples-.2013
Author(s)
Suzuki,Y., Nagai, M., Maeno, F., Yasuda, A., Hokanishi, N., Shimano, T., Ichihara, M., Kaneko, T., Nakada, S.
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Journal Title
Earth, Planets and Space
Volume: 65
Pages: 591~607
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Syneruptive deep magma transfer and shallow magma remobilization during the 2011 eruption of Shinmoe-dake, Japan-Constraints from melt inclusions and phase equilibria experiments-.2013
Author(s)
Suzuki,Y., Yasuda, A., Hokanishi, N., Kaneko, T., Nakada, S., Fujii, T.
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Journal Title
Journal of Volcanology and Geothermal Research
Volume: 257
Pages: 184~204
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Syneruptive deep magma transfer and shallow magma remobilization during the 2011 eruption of Shinmoe-dake, Japan-Constraints from melt inclusions and phase equilibria experiments-2013
Author(s)
Suzuki,Y., Yasuda, A., Hokanishi, N., Kaneko, T., Nakada, S., Fujii, T.
Organizer
IAVCEI 2013
Place of Presentation
鹿児島県民交流センター(鹿児島市)
Year and Date
20130724-20130724
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[Presentation] Evolution of conduit flow during the 2011 eruption of Shinmoe-dake, Japan-insights into cyclic sub-Plinian activity and shifting eruption style of andesite magma2013
Author(s)
Suzuki, Y., Maeno, F., Nagai, M., Nakada, S., Ichihara, M.
Organizer
IAVCEI 2013
Place of Presentation
鹿児島県民交流センター(鹿児島市)
Year and Date
20130724-20130724
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