2013 Fiscal Year Research-status Report
低圧型変成帯の上昇速度の見積もり-変成岩岩石学的研究手法の花崗岩体への応用-
Project/Area Number |
25400511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榎並 正樹 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (20168793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 丈典 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90293688)
壷井 基裕 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (60411774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 領家帯 / 花こう岩類 / 固結条件 / 地質温度計 / 地質圧力計 |
Research Abstract |
貝月山花こう岩:変成岩岩石学的解析法を深成岩体に適応するための基礎的研究として,美濃帯中に貫入する白亜紀花こう岩の研究を行った.その結果,次の点が明らかとなった.(1)花こう岩はほぼソリダス時の形成条件を保持している.(2)一部の試料中の斜長石のコア部にはAn90に達する部分が見いだされた.それは,酸性マグマが石灰岩を含む美濃帯の岩石中に貫入した際にそれらを同化した痕跡であると解釈される. 中部地方領家帯の花こう岩類:これまでに,新規花こう岩類のひとつであり駒ヶ根地域の領家変成岩類中に貫入するザクロ石を含む太田切花崗岩と,領家帯最古期の神原花こう閃緑岩についての全岩および鉱物化学組成分析を行った.その結果,次の点が明らかとなった:(1)太田切花崗岩の固結条件の解析には,変成岩類研究で用いられている含ザクロ石地質温度圧力計が適用可能である,(2)幡豆,下山および天竜地域に産する神原花こう閃緑岩のうち,幡豆地域の試料には,普遍的にマグマ起源のゾイサイト・緑れん石が産し,少なくとも0.5 GPa以上の比較的高圧条件下で形成された.(3)角閃石地質温度圧力計を用いて推定される圧力条件によると,下山・天竜両地域に産する神原花こう閃緑岩は,幡豆地域に比べると有意に低圧条件下で形成された.(4)これまで共通の岩体と考えられ一括して“神原岩体”と呼ばれていた幡豆と下山・天竜地域の花こう閃緑岩は,その形成条件で見る限り,区別して議論されるべきである. なお,幡豆地域の神原花こう閃緑岩に関する成果は,European Journal of Mineralogyに印刷公表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,美濃帯中の花こう岩体1例と,中部地方領家帯中の花こう岩類2例についての解析がほぼ終わり,その一部を欧文誌に公表することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,特に以下の点を中心に,研究を進める予定である. (1)中部地方領家帯に関しては,ザクロ石を含む花こう岩類を中心として,あと2例程度の岩体について,その固結条件の解析を行う. (2)花こう岩体の母岩である,変成岩類の鉱物学的・岩石学的記載を行い,その形成条件を再検討する. (3)いくつかの花こう岩体について,ジルコンU-Pb年代測定を行う. (4)これまでに公表されている花こう岩類のCHIME年代と上記(1)~(3)で得られたデータをもとに,中部地方領家帯の上昇速度についての見積もりを行う. (5)可能であれば,柳井地方領家帯についても同様な解析を開始する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ計画通り支出したが,差額が出たため繰り越した. 消耗品の購入に充てる予定である.
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