2014 Fiscal Year Research-status Report
低圧型変成帯の上昇速度の見積もり-変成岩岩石学的研究手法の花崗岩体への応用-
Project/Area Number |
25400511
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榎並 正樹 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (20168793)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 丈典 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90293688)
壷井 基裕 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (60411774)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 花崗岩 / 変成岩 / 圧力 / 領家帯 / 高T/P変成作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
貝月山花こう岩:変成岩岩石学的解析法を火成岩体に適応するための基礎的研究として,美濃帯中に貫入する白亜紀花こう岩の研究を行った.同岩体からは 斜長石のコア部にAn90に達する部分が存在することを昨年度までの研究で報告したが,それを含めた花こう岩類が記録している圧力温度条件を,角閃石Al地質圧力計と角閃石―斜長石地質温度計を用いて系統的に見積もった.それによると,試料毎に記録している条件は異なるが,全体としておよそ0.55GPa/820℃から0.15GPa/700℃までほぼ連続して変化する.これらは,酸性マグマが冷却固結しつつ上昇し,最終的に深度3.5-4km程度で定置したことを示していると推測される.これは,岩体の分布や接触変成帯の特徴などの地質学的情報から同岩体が比較的浅所に貫入したと推定されることと調和的である.これらの成果は,日本鉱物科学会2014年年会で報告ずみであり,近日中に論文を投稿予定である. 領家帯:前年度に続いて,駒ヶ根地域および三河地域に分布する領家帯の花こう岩類および変成岩類の試料採取を行い,花こう岩類については,ざくろ石もしくは角閃石を含む試料を対象とした記載を行った.そして,駒ヶ根地域の太田切花こう岩および三河地域下山・天竜の神原トーナル岩の解析結果についての論文を執筆中である.また,変成岩類についてもざくろ石を含む試料を中心に岩石学的記載を行い,ざくろ石-黒雲母―斜長石-(白雲母)―石英系の地質圧力計およびざくろ石-黒雲母 地質温度計を用いた解析を進めている.これらの地質温度圧力計は,ざくろ石を含む一部の花こう岩類に対しても適用可能であり,母岩である変成岩類とそこへ貫入している花こう岩類の形成条件を共通した手法で比較・検討することが可能である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析機器の保守のため,装置使用可能時間が予定通り確保できていない. そのため,年度終わりの約3ヶ月間は,主に論文原稿の執筆を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)貝月山花こう岩類,駒ヶ根・太田切花こう岩および三河地域・神原トーナル岩に関する論文の執筆および投稿を行う. (2)上記以外の花崗岩類の記載および熱力学的解析を行う. (3)領家変成岩類の熱力学的解析を行い,投稿原稿を執筆する. (4)まとめの論文の執筆を行う.
|
Causes of Carryover |
主な理由: 英文校閲が必要な投稿用原稿の執筆が年度末に集中し,支払いが学内の手続期限以降になったり見積もりから納品が年度をまたぐ可能性があったため,それらを次年度に繰り越した.領家帯の現地調査を秋以降に行う予定であったが,海外出張などが重なり,実施できなかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に,英文校閲費および学会参加旅費として使用する予定である.
|