2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400517
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
山田 明寛 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (00543167)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高圧中性子回折 / 含水マグマの構造 |
Research Abstract |
本年度は含水珪酸塩融体の高圧中性子回折実験に向けて、その予備的かつ相補的なデータとなる含水珪酸塩ガラスの合成を行った。中性子回折用に、水成分は重水素置換したものを作成した。KAlSi3O8組成ガラスをあらかじめ合成し、白金カプセル中の粉末試料に液体D2Oを直接滴下することで含水ガラスの出発物質とした。実験は愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター設置の3000tonプレスを用い、およそ3GPa、1200℃(電力見積)の条件で試料を融解、供給電力をカットすることで急冷し、試料のガラス生成を試みた。減圧回収された試料を白金カプセルから回収し、無色透明のガラス状のものであることを確認した。完全な重水化の確認には同センター設置のラマン分光装置を用いた。測定の結果、ガラス中に含まれる水はほぼ重水であるが、僅かに軽水が含まれていることがわかった。以前、同様の手法で作成したNaAlSi3O8ガラスでは、完全に重水化することができたことから、カリウムを含む組成では重水の軽水化がかなり早く起きてしまうことが予想される。中性子回折実験では、軽水の非弾性効果を避けるため完全な重水化が望ましいが、十分中性子回折を行うに値する試料であると判断した。 更に本年度は、上記新規試料合成に加え、以前に作成、高圧中性子回折データの取得行っていた含水NaAlSiO8ガラスのより高圧(<10 GPa)での中性子回折データの取得をJ-PARCの高圧ビームライン(BL11, PLANET)にて行った。尚、本データは現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、J-PARCでのハドロン事故の影響で、ビームタイムの大幅減を余儀なくされたが、J-PARCの共同利用以外の方面から研究を進めることで、研究の進行の遅れを最小限にした。当初予定していた新規組成の重水化含水珪酸塩ガラスの高圧合成を行った。より高圧(<10 GPa)での含水NaAlSi3O8ガラスの高圧中性子回折データを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は運転再開したJ-PARCでの共同利用実験課題の申請を行うとともに、国内外の研究者と協力して高圧中性子回折実験を遂行する。また、これまで取得してきた中性子回折データの解析手法の確立と、動径分布関数の導出に向けて現地の専門家との議論を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度はJ-PARCのハドロン研究施設における事故の影響で、J-PARCが長期にわたり使用できなかった。このため、高圧中性子回折実験およびそれに係る予備実験が遂行できなかったため、次年度使用額が発生した。 2014年度(2013年度後期)よりJ-PARCは通常運転が開始されたので、昨年度行えなかった分の実験準備を整えるため、前年度未使用分をそれに充てる。
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