2013 Fiscal Year Research-status Report
高密度プラズマ中での核燃焼デトネーション波の伝播機構の解明とその応用
Project/Area Number |
25400534
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
城崎 知至 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10397680)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 核燃焼 / デトネーション / レーザー核融合 / 非局所輸送 |
Research Abstract |
本研究では、高密度プラズマ中を伝播するレーザー核融合(以下LF)核燃焼波に対する多次元多階層詳細シミュレーションに基づき、LF 核燃焼駆動デトネーション波の伝播機構を解明し、化学反応系のデトネーションモデルとの相違点を見出し、核燃焼デトネーション波伝播に対する理論モデルの構築を行うことを目的とする。 平成25年度は、実施計画に基づき、下記3点を実施した。 (1)α 粒子輸送コード 開発:α粒子の分布関数の時間発展を記述するFokker-Planck-Boltzmann 方程式を直接離散化し、高精度且つ並列化が可能な数値解法を適用して運動方向依存性を考慮した輸送コードの開発を行った。この際、衝突項にはバルク電子縮退効果を考慮したものを用いた。また、並列化ならびに計算手法として容易な粒子法による輸送コードの開発を行った。 (2)輻射オパシティ―テーブルの整備:これまで自由電子間の相互作用のみを考慮したものを用いていたが、研究協力者の助力を受け、束縛電子との相互作用も含めたものに改良した。具体的には、輻射衝突平衡モデル(CRE)ならびに局所熱平衡モデル(LTE)によるテーブルを作成し、密度・温度領域に応じて適切なモデルを使い分けるようにした。 (3)解析:平板プラズマを仮定した1、2次元燃焼シミュレーションを行い、点火初期のデフラグレーション波からデトネーションへの移行、並びにデトネーション波の伝播に対する非局所熱輸送、反応率温度依存性、プラズマスケール等の影響を調べた。化学燃焼の場合と異なり、輻射やα粒子輸送といった非局所輸送が、伝播・不安定性の平滑化に重要な物理機構として働いていることを明らかにした。また、開発したコードを用いて点火用高エネルギー粒子ビーム(イオンならびに電子)入射による核燃焼点火から燃焼までのシミュレーション、並びにこれらビーム生成に関するシミュレーションも行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
α粒子輸送コードの開発において、研究当初はFokker-Planck-Boltzmann輸送方程式に基づいた分布関数を解く手法を採用した。一方で、並列化や、今後の磁場の効果や、他種粒子(高速電子など)の輸送を解くに当たり、ラグランジュ的な粒子法の方が、計算負荷が小さくなる可能性があった。このため、年度後半期において、粒子法による輸送コードの開発、並びに燃焼コードとの結合作業を行った。このため、当初予定よりも研究の進展が遅くなった。一方で、開発した粒子コードは輸送方程式ベースの分布関数を解く方式に比べ、簡易なことや、非等方性が非常に強い場合(ビーム粒子の輸送等)に精度よく解くことができるなど利点も明らかになり、今後の研究の進展既大きく寄与することが期待される。これにより、当年度は達成度としてはやや遅れているとしたが、残り2年度で十分遅れを取り戻せると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度もコード開発と解析を並行して進める。 コード開発:昨年度開発した輸送コードの並列化を行い、計算の高速・大規模化を図る。また、平成26年度の研究実施計画に基づき、磁場効果(α粒子輸送コードへののローレンツ項の付加、電子熱伝導係数への磁場項の付加、MHDモデルによる磁場発展方程式を流体計算部と並列して解く)の考慮を行う。 解析:昨年度の平板系での燃焼計算を発展させ、平板プラズマを対象に様々な温度密度擾乱や初期磁場を仮定し、伝播特性を評価して、伝播の安定性/不安定性の条件を明らかにする。 平成27年度は、開発したコードを用いて、レーザー爆縮コアを対象とした解析を行い、より高燃焼率を可能とする爆縮コア状態(密度・温度プロファイル、磁場配位)ならびに点火方法(中心, 非中心, 多点点火など)を明らかにする。 上記研究推進に当たり、研究協力者(コード開発については、並列化:阪大 長友准教授、核融合研 坂上教授、磁場効果:阪大 長友准教授、ネバダ大レノ校 千徳教授等、解析結果に対する議論については 広大 遠藤琢磨教授、光産創大 三間教授、阪大 西原教授等)の助力を仰ぎ、研究効率を高める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度購入したワークステーション+コンパラ等ソフトが年度初めの見積もり価格よりも、購入前の価格見直し並びに購入先業者の割引により安くなったこと、ならびに解析用PCの購入を次年度に持ち越したこと、参加予定していた2件の国際会議において、1件は別予算からの支援をいただいたこと、もう1件は参加辞退(他用務での外国出張等が直前に入ったため)したため、旅費の使用が抑えられたことにより、繰り越しが発生した 繰越金については、平成26年度以降に解析用PCならびに関連ソフトの購入、研究協力者との打ち合わせのための旅費、ならびに国際会議への旅費に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Present status of fast ignition realization experiment and inertial fusion energy development2013
Author(s)
H. Azechi, K. Mima, S. Shiraga, S. Fujioka, H. Nagatomo, T. Johzaki, T. Jitsuno, M. Key, R. Kodama, M. Koga, K. Kondo, J. Kawanaka, N. Miyanaga, M. Murakami, K. Nagai, M. Nakai, H. Nakamura, T. Nakamura, T. Nakazato, Y. Nakao, K. Nishihara, H. Sakagami, A. Sunahara, T. Taguchi, et al.
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Journal Title
NUCLEAR FUSION
Volume: 53
Pages: 104021
DOI
Peer Reviewed
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