2014 Fiscal Year Research-status Report
超高強度レーザー駆動ガンマ線発生と光核反応による多様な量子ビーム発生
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25400540
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 龍史 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (40318796)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ビーム発生 / 光核反応 / 電子陽電子対生成 / 超高強度レーザー / レーザー駆動ガンマ線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は超高強度レーザーと物質との相互作用の解明を目的とした新しい粒子コードの開発を行った。昨年度の成果にあるように、輻射反作用が無視できない強度領域のレーザーと物質との相互作用では、高密度のガンマ線が発生する。このため、ガンマ線による物質内部でのエネルギー輸送を、ガンマ線の発生過程およびプラズマの集団効果とともにコンシステントに計算する必要がある。そこで、後者の2つの過程の解明に有効な粒子シミュレーションコードに、ガンマ線の輸送過程をモンテカルロ手法により取り入れた新しいコードの開発を行った。具体的には、ガンマ線領域の光子と物質との相互作用で支配的である、コンプトン散乱、原子核電場を介した電子・陽電子対生成、そして(g,n),(g,p)等の光核反応を取り込んだ。これらにより、光子エネルギースペクトルの緩和過程、反粒子や核子の生成過程等を調べることが可能となる。また、これらのガンマ線輸送ルーチンは、日本原子力研究開発機構が中心となり開発を進めている、粒子輸送コードPHITS(Particle and Heavey Ion Transport code System)を使い検証を行った。その結果、ガンマ線ビームの固体中での伝播過程を高い精度で再現できることを確認した。これらの成果は、国内外の会議および学術論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したスケジュール通りに、本年度はガンマ線輸送過程を考慮した粒子シミュレーションコードの開発をほぼ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、開発した新しいシミュレーションコードを用いて、超高強度レーザーと物質との相互作用の解明を進める。特に、ベーテ・ハイトラー過程による陽電子発生や、光核反応による中性子発生について、その詳細を調べる。発生する量子ビームの特性を明らかにすることで、新しい量子線源の提案につなげたい。超高強度レーザーを使った陽子線発生の研究は近年注目を集めており、多くの学術論文が発表されている。それらはレーザーで加速した電子を高Z物質に照射する2段プロセスを使っている。本研究でその特性を明らかにする陽子線源では、レーザー駆動のガンマ線と原子核電界による対生成を利用していることが大きくことなる。レーザー駆動ガンマ線は発生効率が30%程度と大変高く、また指向性もよいことから、発生する陽電子への変換効率や指向性において優位となる可能性がある。また、ターゲットを2段階にする必要がないことは、レーザー電子加速によりターゲット裏面に生成されるシース電界を陽電子加速に利用できることが予想される。考えているような超高強度レーザーと固体との相互作用で誘起されるシース電界はTV/mを超える可能性が高く、それによる陽電子のエネルギーゲインも数十MeV程度となることが期待できる。エネルギー特性を含め、発生陽子線の詳細を解明する予定である。
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Research Products
(5 results)