2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25410007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
脇坂 暢 山梨大学, 燃料電池ナノ材料研究センター, 准教授 (40377601)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 単結晶電極 / 酸素還元反応 / CO酸化 |
Research Abstract |
研究実施計画書に基づき、本年度は合金単結晶作製法の確立を目指した。 従来、Pt合金単結晶の作製は、温度勾配るつぼを用いたBridgman-Stockbarger法により、特定組成のみが行われてきた。このため、様々な組成の合金単結晶を大量に作製するにはコストと時間がかかり、燃料電池研究に利用することは極めて困難であった。本研究では既存のClavilier法(単味貴金属単結晶の簡易作製法)を改良し、種結晶に第二成分を添加していくことで、酸水素炎トーチだけで任意組成のPt合金単結晶ビーズを作製すること目指した。合金化の確認は、単結晶ビーズに現れるファセット配置をもとに行った。所定の指数面の決定は、簡便なファセットレーザー反射法で行った。合金単結晶のバルク組成並びに結晶面の確認は、X線光電子分光法並びに低速電子線回折によって行った。 本研究により、Pt-Co及びPt-Ru合金単結晶の作製に成功した。作製した単結晶は、回転ディスク電極法による燃料電池反応解析を可能にするため、さらにディスク状へと加工した。加工後、結晶面のみが溶液に曝露され、回転軸に垂直かつ同軸配置になるようにテフロンスリーブに埋め込んだ。これにより、従来のハンギングメニスカス法では達成されなかった実験精度により作製したPt合金単結晶の活性評価を行うことが可能となった。 Pt-Co合金単結晶については低指数面の酸素還元活性について検討を行い、Pt-Ru合金単結晶についてはCO酸化活性について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画において初年度は単結晶作製の確立を目指していたが、計画通り新規な合金単結晶の作製に成功した。さらには、先行して作製した単結晶の活性評価に着手し、その研究成果を学会に発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、作製した合金単結晶の表面構造の解析を行い、表面調製法による表面構造の違いを明らかにする。表面構造解析にはLEED、LEIS 並びにSTMを用いる。合金単結晶の幅広い利用を促すため、超高真空装置を用いない合金単結晶の表面調製法の確立に努める。 (a)超高真空中において従来のArイオン衝撃と輻射加熱による表面調製を行い、調製後の表面構造をLEED並びにLEISにより行う。指数面並びに組成毎による表面再配列(バルクと異なる原子配列)並びにPtスキン層形成の有無を確認する。超高真空中で調製した合金表面の電気化学測定は、EC-XPS装置内において外気に曝さずに表面構造を維持させて行う。 (b)超高真空装置を用いない簡便な方法により、よく規定された合金単結晶表面の調製を試みる。アニール処理方法は、酸水素炎、雰囲気制御赤外線イメージ炉(山梨大学)、雰囲気制御誘導加熱炉(山梨大学)の三つを検討する。調製後の表面構造解析はLEED並びにLEISにより行う。 (c)STMを用いて表面調製した合金単結晶表面の溶液中その場観察を行い、酸性溶液中における合金単結晶表面の安定性について検討を行う。STM観察は単味Pt単結晶を用いた同様の研究を参考に行う。STMだけに頼らず、電気化学測定、溶出元素のICP分析、EC-XPS装置内の各種表面分析法を用いて総合的に研究を進める。
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Research Products
(5 results)