2013 Fiscal Year Research-status Report
ストレステンソル密度とスピントルクによる量子遷移の理論的研究
Project/Area Number |
25410012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
立花 明知 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40135463)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬波 大土 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40431770)
市川 和秀 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50401287)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ストレステンソル密度 / スピントルク密度 / ツェータ力密度 / 量子電磁力学 / 量子重力理論 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者により定式化された電子のストレステンソル密度・スピントルク密度・ツェータ力密度を用いて量子遷移現象の理論的研究を推進するものである。 理論構築部分においては、超重力理論に基づくスピン渦理論における具体例の計算が行われた。また、ブロッホ関数で表される電子状態の電子ストレステンソル密度において、平面波部分から液体的なふるまいが現れることを解析的に示した。 相対論計算部分においては、光子場の時間発展およびくりこみの有効な方法を検討する必要があったが、これらについて遅延ポテンシャル計算に必要な分子積分公式を導出し、電子質量の時間依存くりこみ方法の提案を行った。また、これらを実装した数値計算コードを作成した。今後これらを用いて計算を行うことで、より正確に場の量子論に基づいた時間発展の数値的な計算が実行可能となる。 非相対論計算においては、相互作用を記述する光子場の時間発展についての系統的な計算コードを開発した。その結果として、場の量子論に基づいて正しく記述される光子状態を得るthermalizationの過程が、非常に重要であることを示した。電流と電磁場が矛盾なく得られるためには適切なthermalization過程が必要であることが分かった。 電子の電気双極子モーメントがある場合のスピントルクの定式化を行った。Volkov解に対する振る舞いを調べ、スピントルク、ツェータ力と直交した成分を持つことを示した。YbF分子を例にとりあげ、電磁場中でのこの新たなトルクの分布を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QED(量子電磁力学)に基づいて非摂動的に量子遷移過程を計算する計算コードが順調に発展している。 相対論計算部分においては光子場の遅延ポテンシャル部分の計算のための分子積分計算を行うことができるようになった。また、定常一様外部電磁場存在下での時間発展のための定式化が行われた。 非相対論計算部分においては、遅延効果を含む相互作用光子場を系統的に計算するコード開発を行い完成した。Thermalizationの方法についての情報が集まり、今後の指針を決定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
相対論計算部分においては光子場の遅延ポテンシャル部分の計算のための効率的な数値積分アルゴリズムおよびデータ格納方法を実装する。数値積分についてはDE(二重指数関数型)公式を検討する予定である。くりこみについては電子質量以外のパラメターである電子電荷や場の演算子の規格化について考察する。 非相対論計算部分においては、改良したThermalizationの方法について計算コードの開発を進める。テスト計算による結果を見ながら修正してバランスを調整する。くりこみについては、保存量を利用してくりこまれる量の再定義を行う方針を採用しているが、これまで粒子電荷保存に基づいたものだけが導入されている。静止質量を利用した質量くりこみについての導入を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
科研費申請時には予定していなかった予算が確保できたため、計算機使用料、旅費について他の予算から支出することができ、当該年度の支出を抑えることができた。 申請時には限られた予算の範囲で断念していた、書籍の購入や会議への参加費、旅費として活用する。当初の計画では情報収集については不十分な計画であったが、これによって十分に情報収集が行えると考えている。
|
Research Products
(43 results)