2013 Fiscal Year Research-status Report
時間分解中性子小角散乱法による高分子共結晶領域中のゲスト拡散に関する研究
Project/Area Number |
25410014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 文俊 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70214468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 直久 北海道工業大学, 創生工学部, 教授 (40364244)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 中性子小角散乱 / 高分子結晶複合体 |
Research Abstract |
中性子散乱法を利用したゲスト交換過程の追跡に関しては、ガルヒングに所在するミュンヘン工科大学の研究用原子炉の冷中性子線ビームラインに設置されたユーリッヒ中性子科学研究センター(JCNS)の中性子小角散乱装置KWS-2を利用して2013年8月と2014年1月の2回のシンジオタクチックポリスチレン(sPS)の結晶領域と低分子の共結晶化に関する実験を行った。2回目の実験に先立っては、重水素化sPSの合成と実験装置の改良も合わせて行い実験に用いた。ゲスト交換過程、結晶領域内におけるゲスト分子の形状、そして昇温に伴うゲスト分子の結晶領域からの離脱に関する実験を行い、実験データの解析を現在JCNSと共同で進めている。 また、筑波KEKの放射光施設(PF)を利用してゲスト交換過程における高次構造と結晶構造の変化に関する実験をおこなった。また同じ実験条件で赤外分光法を用いて経時変化測定を行い、ゲスト添加剤の有無がゲスト交換挙動の変化にどのような影響を与えるかについて調べた。そしてゲスト交換に添加剤の影響を、添加剤により誘起される結晶構造変化を基にして考察した。また合わせて、ゲスト分子の大きさと形状がゲスト交換挙動に対してどのような影響を与えるかについて検討をおこなった。 一方、ゲスト交換過程における結晶領域内のゲスト分子の拡散については、理論モデルの構築を行い、そのモデルに基づくゲスト交換における新旧ゲスト分子の濃度変化を数値計算した。現在、実験結果との比較を行い、モデルの妥当性について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中性子小角散乱に関しては二回の実験を行うことができた。試料である重水素化sPSの合成と中性子小角散乱実験の装置の準備は順調に進んだ。しかしビームタイムの制約もあって計画した研究を全て行うことはできなかった。また現在データ解析はある程度進行中ではあるが完了はしていない。 一方中性子散乱実験を補完するために行っている放射光を利用したX線小角広角同時測定についても3回の実験を行うことができ、ゲスト交換時における構造変化に関する有益な情報を得ることができたが、再現性が確認できていないものがあり、今後の実験を必要とする。
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Strategy for Future Research Activity |
今年についても2回の中性子小角散乱実験を計画している。ゲスト交換における添加剤の効果について、より詳しい実験を行う予定である。またこれまでに行った中性子小角散乱実験のデータ解析をできるだけ早く完了させたい。相補的に利用している、放射光を利用したX線散乱実験も少なくとも3回は行い、添加剤の種類の違いがゲスト交換の挙動と高次構造と結晶構造にどのような影響を与えるかについて調べる。 また中性子小角散乱における変化を解析するには、できれば同時に他の情報が得られるシステムを準備することが望ましい。この点について、振動分光的手法を導入することを検討する予定である。
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Research Products
(13 results)