2015 Fiscal Year Annual Research Report
気相水和クラスターを用いた核酸塩基水和構造のモデリング:ヌクレオチドへの展開
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25410023
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三枝 洋之 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (90162180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 眞幸 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (10362295)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中赤外レーザー分光 / 尿酸 / レーザー脱離 / ローカルモード結合 / CO伸縮振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
25-26年度の研究費により整備した中赤外レーザー分光装置を用いて、代表的な生体分子の一つである尿酸のカルボニル基(C=O)伸縮振動領域の赤外スペクトルを測定した。その結果、尿酸の一水和物の2つの構造異性体について、水和サイトによりローカルモード結合様式に大きな違いがあることを見出した。更にこのモード結合様式の水素結合サイト依存性を利用することで、以前に報告した近赤外領域のスペクトルからでは帰属が困難だった、尿酸-メラミンの水素結合錯体の構造決定を明確に行うことができた。この成果は、英国化学会誌のPhysical Chemistry Chemical Physicsに公表した。 また我々の研究グループは、フランスで生体分子の赤外レーザー分光を行っているMichel Mons博士のグループ(CEA)と共同研究を行ってきた。本研究グループで博士号を取得した浅見祐也が、Mons博士の研究室で博士研究員として一年滞在し、DNA塩基グアニンに関する共同研究を行った。DNA中に存在するグアニンのケト互変異性体は、電子励起状態の寿命が短いため、ナノ秒UVレーザー光によるイオン化では観測できないとされてきた。そこで、グアニンの一部をナフチル基で化学修飾し電子励起状態の寿命を長くすることを試みた結果、世界で初めてグアニンのケト体を観測することに成功した。更にこの修飾グアニンのC=O伸縮振動スペクトルを測定し、ケト互変異性体であることを明確に示した。この成果は、米国化学会誌Journal of Physical Chemistry Aに公表した。
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