2013 Fiscal Year Research-status Report
高付加価値オレフィンの精密重合を可能とする[OSSO]型触媒の開発・設計
| Project/Area Number |
25410035
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
| Research Institution | Saitama University |
|---|
Principal Investigator |
中田 憲男 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50375416)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | ポストメタロセン / オレフィン重合 / スチレン / [OSSO]配位子 / ジルコニウム / 高分子 / シクロアルカン |
|---|
| Research Abstract |
本研究課題では、独自に開発した混合ドナー系四座配位子である[OSSO]型配位子を基本骨格とした新規な配位子の設計・開発と高付加価値モノマーであるプロピレンやスチレンなどの高活性かつ高立体選択的重合を同時に達成するポストメタロセン型重合触媒の開発を目的としている。平成25年度では、従来のt-ブチル基を有する[OSSO]配位子1のフェノキシド部位に結合する置換基のサイズを立体的に小さく、さらに平面性が高いアリール基に置き換えた新規配位子を開発した。すなわち、フェノキシド部位のオルト位およびパラ位にフェニル基を有する配位子2は、前駆体としてサリチルアルデヒドを使用し、水素化アルミニウムリチウムによる還元、次いで三臭化リンを用いた臭素化、さらにアミン存在下での1,2-ジチオールとの反応から全体収率45%で得られた。この配位子2に対し、Zr(CH2Ph)4をトルエン中で作用させたところ、対応するジベンジルジルコニウム錯体3を中程度の収率で合成・単離に成功した。
次に、錯体3を前触媒としたスチレンの重合反応を助触媒としてdMAOを用いてトルエン中、0℃で行ったところ、低い重合活性であったものの(50 g mmol-1 h-1)、完璧なイソ選択性で結晶性のポリスチレンが得られた([mm] > 99%, Tm = 218.6℃)。また、この条件では高分子量のポリスチレン(Mw = 137,000 g mmol-1)が生成したが、その分散値(PDI)は非常に大きな値であった(PDI = 8.6)。同様のスチレン重合反応について反応温度を0℃から70℃までに変えて検討したところ、温度上昇に伴う重合活性の上昇に加え(139-618 g mmol-1 h-1)、イソ選択性の著しい低下がみられた(96.8%→87.5%)。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、オリジナルの配位子を基本骨格とした新規配位子の設計・開発から高付加価値モノマーであるプロピレンやスチレンなどの超精密重合を達成する触媒システムの構築を目的としている。現在までのところ、スチレンの高活性かつ高イソ選択的重合触媒の開発に成功しており、置換基修飾によるさらなる配位子設計から、高活性かつ高分子量のポリスチレンが生成する高精密重合システムの構築にも着手している。また、最も基本的かつ実用性の高いプロピレンの精密重合を目指した新規配位子の開発も検討しており、当初の研究計画通りのスケジュールで研究を遂行することができている。そのため、次年度に向けた研究計画のブラシアップに加え、次年度以降の目標として掲げている極性モノマー類の重合システムの開発に向けた研究成果を達成できたと思われる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き、スチレンの精密重合を達成する[OSSO]配位子の設計と対応する4族遷移金属錯体の合成を検討する。具体的には、これまでに開発した配位子2よりもスチレンが重合する反応サイトが広いと予想されるフェノキシド部位のオルト位にメチル基、パラ位に2,6-ジメチルフェニル基を有する新規配位子を考案し、この合成と錯体形成反応を実施する。さらに、この配位子を有する一連のジルコニウムおよびハフニウム錯体を前触媒としたスチレンの精密重合反応を検証する。
一方、プロピレンの精密重合に関しては、従来の[OSSO]配位子を使用する触媒システムよりも小さな反応サイトが必要であると考えられる。そこで、フェノキシド部位のオルト位をこれまで使用してきたt-ブチル基よりも大きなトリアルキルシリル基に置き換え、一連のシリル基を有する配位子の開発とそれらを有する4族遷移金属錯体の合成を目指し、プロピレンの精密重合を達成する反応条件や触媒探索を実施する。
さらに、これまでに見出してきたα－オレフィンの精密重合を達成する[OSSO]配位子を用いた配位重合システムの知見を駆使し、今日までにその達成が未踏な極性モノマー類のイソ特異的重合反応への展開についても検討していく。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] π-ドナー性置換基をケイ素上に有するシレン：合成と反応性2013
Author(s)
中田憲男・RODRIGUEZ, Ricardo・TROADEC, Thibault・加藤剛・SAFFON-MERCERON, Nathalie・BACEIREDO, Antoine
Organizer
第17回ケイ素化学協会シンポジウム
Place of Presentation
箱根湯本温泉ホテルおかだ（神奈川）
Year and Date
20131025-20131026
-
-
-
-
-
-
-
