2013 Fiscal Year Research-status Report
ジベンゾシラボリンを基盤とする新規典型元素パイ電子系の構築
Project/Area Number |
25410045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河内 敦 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70260619)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 典型元素化学 / ケイ素化学 / ホウ素化学 / 構造化学 / 光物性 |
Research Abstract |
(1)ケイ素原子上の立体的かさ高さを軽減するために,メシチル基のかわりにフェニル基を有するジベンゾシラボリンの合成を検討した。まず,1,2-ジブロモベンゼンをn-BuLiを用いてリチオ化し,PhSiHCl2と反応させることで前駆体を合成した。これをEt2O中でtert-BuLiを用いてジリチオ化した後,MesB(OMe)2と反応させることで,ジベンゾシラボリン1を合成することができた。塩化メチレン中で1を[Ph3C+][BF4-]と反応させることでフッ素化体を得た。PdCl2存在下で1とCCl4を反応させることで塩素化体を得た。また,トルエン中,RhCl(PPh3)3を用いた1とp-トルエンチオールとの脱水素縮合により,チオシランを得た。塩素化体とリチウムアセチリドとの反応により,エチニルシランを得た。 (2)合成したケイ素官能性ジベンゾシラボリンの紫外可視吸収スペクトルは,300 nm付近に強い吸収(ε>1000)が観測され,340 nm付近に弱い吸収(ε>100)が観測された。TD-DFT計算(B3LYP/6-31+G(d))から,強い吸収は,ジヒドロアントラセン骨格のベンゼン環のπ軌道から,ホウ素の空軌道とフェニレンのπ*軌道とからなるLUMOへの遷移と帰属された。弱い吸収はケイ素上のメシチル基のベンゼン環のπ軌道からLUMOへの遷移と帰属できた。蛍光スペクトルは,いずれの化合物でも430 nm付近に観測され,量子収率は0.10であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 立体混雑を緩和したジベンゾシラボリンの合成に成功した。 (2) ヘテロ原子置換ジベンゾシラボリン化合物群を合成した。 (3)上記の合成体に対して,紫外ー可視スペクトルを測定した。また,DFT計算により電子構造を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ホウ素部位のアニオン受容体としての機能評価 合成したジベンゾシラボリン化合物群について,フッ化物イオンとの錯形成をおこない,アニオンセンサーとしての機能を評価する。錯形成にともなう構造変化を多核NMRおよびX線結晶構造解析により調査する。また,光物性の変化を紫外ー可視吸収スペクトルおよび量子化学計算によって明らかにする。
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Research Products
(6 results)