2015 Fiscal Year Annual Research Report
ジベンゾシラボリンを基盤とする新規典型元素パイ電子系の構築
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25410045
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
河内 敦 法政大学, 生命科学部, 教授 (70260619)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シラン / ボラン / 結合の活性化 / 交換反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒドロシリル基とジアリールボリル基をo-フェニレン骨格で連結した化合物1をトルエン中で加熱すると,ホウ素原子によるSi-H結合の分子内活性化が起こり,ケイ素原子上の水素原子とホウ素原子上のアリール基が交換を起こしたヒドロボラン中間体が生成する。今回,この熱による交換反応を水素ガス雰囲気下でおこなうと,ヒドロボラン中間体による水素分子の活性化が進行することを見出したので報告する。基質としてケイ素上の水素原子を重水素で置換した重水素化体1-Dを用いて,反応容器としてYoung tubeを用い,D-H交換反応の検討を行った。1-Dとシクロヘキサン(内部標準)をtoluene-d8に溶解させた後,混合溶液の凍結脱気を行い,水素ガス雰囲気下で150度に加熱した。6時間ごとに1H NMRを測定し,内部標準を用いて1の収率を算出した。再現性を確認するために,同様の実験を3回繰り返した。その結果,1の収率は30時間で約40%に達し,その後は増加することはなかった。1を単離するため,バルブ付きシュレンク管を用い,実験スケールを上げてD-H交換反応を行った。1-Dのtoluene溶液を凍結脱気した後,水素ガス雰囲気下で110 度で加熱撹拌した。反応混合物をヘキサンから再結晶することで1を収率52%で得ることができた。単離した1について1H NMR,29Si NMR,IRを測定した。 1H NMRスペクトルでは,1-Dでは見られなかったSi-Hのピークが4.5 ppmに七重線として観測された。29Si NMRスペクトルでは,1-Dで三重線であったシグナルが一重線となった。IRスペクトルではSi-Hの伸縮振動(VSi-H = 2150 cm-1)が観測された。
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Research Products
(2 results)