2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25410046
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村藤 俊宏 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40253140)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アズレン / 発光 / 呈色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、複数のアズレンから構成される共役系分子を基盤とし、発光性アズレン誘導体の創出を目的とする。28年度は、ビアズレン類の共役系拡張と機能評価について検討を行った。ピリジルアズレンの1位をハロゲン化後、Suzuki-Miyauraカップリングにより相当するビアズレンに誘導した。一般に、1位がハロゲンで置換されたアズレン類は不安定で容易に分解するのに対し、この化合物は極めて安定で全く分解しなかった。これは、ピリジル基の電子求引性効果に起因すると考えられる。次に、UV/Visスペクトルによりビアズレンの酸に対する挙動を精査したところ、当量の酸を加えるとアズレンの最長波長部の吸収帯は短波長シフトしたのに対し、過剰の酸を作用させた場合には長波長シフトした。一方、プロトン化による発光強度への大きな影響は見られなかった。当量の酸を作用させて得られた塩を単離し、X線結晶構造解析を行った結果、プロトンが両窒素原子に架橋して軸不斉が生じていることを明らかにした。したがって、上記で観測された短波長シフトは、プロトンが両窒素に架橋しアズレン間の共役によりHOMOが非局在化されることで、そのエネルギーレベルが低下したことを示唆している。また、長波長シフトについては、それぞれの窒素原子がプロトン化されたジカチオン種が生成し、これによりLUMOレベルが低下したことに由来すると考えている。DFT計算もこれらの結果を支持した。
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Research Products
(5 results)