2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25410048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
北村 二雄 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00153122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フッ素化反応 / 触媒反応 / 超原子価ヨウ素 / フルオロカルボニル化合物 |
Research Abstract |
α-フルオロカルボニル化合物は農薬、医薬品などの合成中間体として極めて有用な物質である。しかしながら、その合成は、工業的には猛毒で極めて危険なフッ素ガスを使用するため特殊な設備や熟練した技術が必要である。安価で安全な代替フッ素化剤が強く望まれている。本研究では、申請者がこれまで行ってきた超原子価ヨウ素化学に関する研究成果を基礎に、フッ素ガスを用いないカルボニル化合物の安全かつ簡便な新しいフッ素化反応を確立するとともに、ヨードベンゼンを触媒とするメタルフリーの触媒的フッ素化反応を開発することを目的とする。 (1)1,3-ジカルボニル化合物のフッ化水素酸/PhIOによるフッ素化反応の開発:フッ化水素酸とヨードシルベンゼンを混ぜて調製した反応溶液を1,3-ジカルボニル化合物と反応させることにより、2-フロオロ-1,3-ジカルボニル化合物の合成法を確立した。種々の置換基を有する1,3-ジカルボニル化合物に適用でき、本反応の一般性を明らかにした。ヨードシルベンゼンの他に、o-ヨードシルトルエン、o-ヨードシルアニソールがヨードシルアレーンとして優れていることがわかった。 (2)ケトンのフッ素化反応の開発:ケトンの直接的フッ素化は非常に有用であるが、モノケトンに対してはほとんど反応が進行しなかった。そこで、ケトンに対しては、フッ化水素酸を検討することにより反応が進行することが判明したため、今後、反応条件を確立する予定である。 (3)ヨードベンゼンによる触媒的フッ素化反応の開発:ヨードベンゼン類を触媒的に利用できれば、画期的なフッ素化反応が開発できる。そこで、種々、酸化剤、触媒量のヨードアレーンを検討した結果、フッ化水素酸によるβ-ケトエステルの触媒的フッ素化反応が起ることを見出した。今後、種々の反応条件を検討し、触媒的フッ素化反応の開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画の(1)「1,3-ジカルボニル化合物のフッ化水素酸/PhIOによるフッ素化反応の開発」はほぼ予定通り研究が進行し、100%近く研究成果を出すことができた。研究計画(2)の「ケトンのフッ素化反応の開発」は、まだ、検討中であるが、フッ化水素反応剤を検討することにより効率良くフッ素化反応が起ることを見出すことができたので、当初予定よりははるかに進展している。研究計画の(3)「ヨードベンゼンによる触媒的フッ素化反応の開発」も、ヨードシルアレーンを触媒とするフッ素化反応を構築することができたため、当初よりはるかに研究は指針でいると考える。 したがって、本研究は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)1,3-ジカルボニル化合物のフッ化水素酸/PhIOによるフッ素化反応の開発では、さらに本反応を有用なものとするために、官能基を有するカルボニル化合物類を検討する。 (2)ケトンのフッ素化反応の開発では、フッ化水素酸を検討することによりフッ素化反応が進行することが判明したので、反応条件の確立と適用範囲を明らかにする。 (3)ヨードベンゼンによる触媒的フッ素化反応の開発では、酸化剤及びヨードアレーンを検討することにより、触媒的フッ素化反応が起ることを見出した。今後は、種々の条件検討並びに基質適用範囲を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は予想以上に研究が進展したために、薬品等の物品費に予算以上の費用が必要となった。しかし、当初予定していた学会発表の予算等を削減し調整したため、次年度使用額が「0」より大きくなった。 次年度も薬品等の物品に費用がかかると予測されるため、物品費として、次年度使用額の「18,929円」を次年度の物品費と合わせて使用したい。
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