2015 Fiscal Year Annual Research Report
キラル11族金属錯体を用いる双極子活性種の効率的発生と多様性分子変換
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25410053
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
福澤 信一 中央大学, 理工学部, 教授 (50173331)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アゾメチンイリド / ピロリン / 共役付加 / ニトロアルケン / キラル配位子 / 不斉合成 / ピロリジン / スピロラクタム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究では,酢酸銀とキラルP,S-配位子(ThioClickFerrophos)との錯体が5-ピロリンエステルを活性化し,対応するアゾメチンイリドが発生し,こらがN-置換マレイミドとの1,3-双極子環化付加反応が進行し,exo-7-アザノルボルナンが,高ジアステレオ及びエナンチオ選択的に生成することを明らかにした。 当該年度では,活性化アルケンとして,ニトロアルケンを選び,これと5-ピロリンエステルとの反応を研究した。酢酸銀/ThioClickFerrophos錯体を用いて,この反応を行うと,1,3-双極子環化付加反応ではなく,共役付加反応が進行し,anti付加物(ピロリンの窒素原子とニトロアルケンの置換基の立体化学がanti)が優先して生成することが明らかとなった。anti付加物の鏡像体過剰率は95%以上で有り,本反応は,高ジアステレオ及びエナンチオ選択的に進行していることが分かった。 一方,本反応を酢酸銅/キラルP,N-配位子(FcPHOX)を用いて行うと,syn付加物が優先的に,高エナンチオ選択的に生成していることが判明した。これらの結果より,用いる触媒により,この反応の立体化学を制御できることが分かった。 共役付加物であるニトロピロリンエステルは,水素化反応により生物活性化合物の基本骨格として重要であるスピロラクタムへと変換できた。 本反応は,種々のピロリンエステルとニトロアルケンの誘導体との反応に適用可能で有り,多様な光学活性ピロリン誘導体の合成が可能である。しかも,触媒を選択することにより立体化学的に多様な化合物を合成できる。すなわち,本研究の成果により,多様な立体化学と多様な置換基をもつ光学活性ピロリン誘導体合成が可能となった。また,これらのピロリン誘導体は,生物活性をもつスピロラクタムへの変換が出来るので,新薬発見が期待できる。
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Research Products
(12 results)