2014 Fiscal Year Research-status Report
熱的に安定なモノ置換チオフェンS-オキシド及びその関連化合物の化学
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25410055
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大谷 卓 東京理科大学, 総合研究機構, 講師 (70339109)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | チオフェン / チオフェン1ーオキシド / チオフェン1ーイミド / オリゴチオフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、縮環型立体保護基である1,1,7,7-tetraethyl-3,3,5,5-tetramethyl-s-hydrinfacen-4-yl基(以下、EMind基)を3位に有するチオフェンを酸化することにより得られるチオフェン1-オキシド、1-イミド、及びイリド化合物の合成法を確立した。今年度、これら化合物の温度可変13C-NMRを測定し、コンピューターを用いたシミュレーションによる線形分析を行うことにより、3配位硫黄原子のピラミダル反転の活性化エネルギー、活性化エンタルピー、活性化エントロピーを実験的に求めることに成功した。 本研究によりチオフェン1-イミドの反転エネルギーを実験的に初めての決定することができた。 EMind基はチオフェン環に直交すること及び本化合物がもっとも少ないモノ置換チオフェンの誘導体であり、実測不能な母体チオフェンの硫黄置換体にもっとも構造が近いと考えられることから、本実験値はチオフェンの3配位硫黄化合物の反転エネルギーとして今後引用される値になると期待される。 Rind基はその嵩高さによる立体保護効果と立体制御効果が知られていたが、本研究は新たに剛直な構造を生したNMRのプローブとして応用できることを示した点でも意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初期待したとおり、Rind基の一つであるEMind基がNMRのプローブとなり、チオフェンの硫黄上の反転エネルギーの測定に使えることを明らかにした。同じチオフェン骨格を用いて正確な測定が行えたことにより、3配位硫黄原子上に置換された原子が立体反転にもたらす影響を鮮明にすることができた。これらにより、本研究の大きな目的の一つが達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
チオフェン硫黄置換化合物の3配位硫黄の反転エネルギーについてはほぼ測定を終えたので、それらの結果については論文化を目指す。1-オキシドの窒素上にアシル基を持つと、反転エネルギーが著しく高くなることを見出したので、それらの光学分割が可能かを明らかにしたい。 モノ置換1-オキシドの反応性を[4+2]型環化反応を中心に模索する。 チオフェン1-オキシドや1-オキシドのブロモ体を合成し、クロスカップリング反応を検討したい。
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Causes of Carryover |
26年度の研究では、高性能のオイルバスを2台とキラルカラムなどを購入し、研究当初に計画した金額は使用したものの、それ以外の試薬や消耗品代を節制したことが奏功し前年度繰り越し分を残すことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は多くの反応を行う予定であるので、まず実験環境を整えるために実験装置を充実させる。また、試薬や溶媒、ガラス器具など消耗品代も多く発生すると思われる。本課題の研究成果を発表するため、国内外の学会にも参加する予定である。
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Research Products
(8 results)