2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25410074
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
田 旺帝 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (40344501)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 配位高分子薄膜 / 単結晶酸化物表面 / 修飾金単結晶表面 / 表面X線吸収微細構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に続いて、1)放射光XAFS法による配位高分子(PCP/MOF)薄膜の構造解明、2)固体表面における配位子分子の吸着構造研究を進めた。 まず、1)については、二酸化チタン(TiO2)の単結晶表面に、配向が制御された配位高分子薄膜の作製とともに、超薄膜PCP/MOFの構造解明を進めた。具体的には、有機カルボン酸類が規整吸着するTiO2(110)表面に、HKUST-1の薄膜をLiquid-Phase Epitaxial (LPE)法により作製し、表面XRDやSEMによりHKUST-1はTiO2(110)表面上で<111>方位で配向が制御された薄膜に成長することを報告した(Electrochemistry, 82(5), 335-337 (2014))。 さらに、2次元シート状の構造により、平面型分子を選択的に挿入・脱離できるスイッチング機能を有するCu-MOF-2(J. Am Chem. Soc. 133, 8158-8161(2011))の多層膜をTiO2(110)及び4-Mercaptobenzoic acidで修飾したAu(111)表面に作製した。表面XRDおよびSEMの結果、多層膜Cu-MOF-2は修飾Au(111)では方位依存性がみられなかったが、TiO2(110)では基板垂直方位に<010>方位で成長することを明らかにした。さらに、放射光XAFS法により、TiO2(110)では初期段階からCu-MOF-2の核が成長している可能性の手がかりを見出した(248th ACS National Meeting, San Francisco (U.S.A.), Aug. 10-14 , 2014、第34回表面科学学術講演会、第32回PFシンポジウム )。 2)については、1)で示唆された配向特性の原理を明らかにするために、Cu-MOF-2の配位子分子の吸着構造について準備を進めた。具体的には、超高真空雰囲気下で清浄化したTiO2(110)表面にBenzoic Dicarboxylic acidを真空蒸着法により導入するため、蒸着装置の改良と調製条件の最適化を進めている。一方、LPEと同様な条件で調製した試料はHREELSやLEEDによる構造解析が厳しいこともわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体としてやや遅れているところがある。具体的には、研究課題1)については計画通り順調に進展している。研究課題2)については、前年より懸念していた、表面分析装置の老朽化による実験の遅れが出始めている。また、試料調製法に課題がある。具体的には、PCP/MOF薄膜の調製法と同様な条件で調製した試料ではリンカーの多層吸着や不純物、溶媒の吸着などで解析にもちいられるHREELSやLEEDのデータ取得が厳しいことがわかった。そのため、LPEでも上述の分析手法が適用できるようさまざまな条件での試料調製を探索している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、配向が制御されたPCP/MOF薄膜の調製と構造解明を進めながら、単結晶酸化物表面における配位子分子(リンカー)の吸着構造の研究を実施する。まず、研究課題1)については、前年度に引き続き、TiO2(110)表面を修飾することでCu-MOF-2の面内配向の制御を試みる。具体的には、TiO2(110)表面をカーボン鎖の長いジーカルボン酸分子やNH3-Terephatlic acidまたテトラフルオロテレフタル酸などで修飾することで、PCP/MOFの成長における自由度を抑えるように試みる。一方、Au表面については、Cu-MOF-2の対称性を考慮し4-MBA修飾Au(100)表面での配向制御を試みる。 さらに、新たな系として、光触媒として機能を有するFe(III)を含むPCP/MOF(J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 14488))を同じく光触媒として知られているTiO2(110)表面に形成し、配向性を有する薄膜化を推進する。具体的には、これまで確立したLPE法に加え、水熱法やImmersion法、ナノ粒子によるLB法など多様な方法論で配向性を有する薄膜化を試みる。生成された薄膜は本研究で確立した解析方法(表面XRD、SEM、表面XAFS)により構造や電子状態を明らかにする。一方、研究課題2)については、前年度と同様に、TiO2表面におけるリンカーの吸着構造を継続しながら、金表面における吸着構造についても検討を進める。しかし、装置の老朽化によるトラブルに加え、これまで研究を支えていた博士研究員の異動が予定されており、研究遂行に遅れが生じることが懸念される。こうした問題を回避するため、早急に共同研究先の打診とともに研究計画の修正もを視野にいれながら研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
消耗品の納期が予定より長かったため平成26年度での購入を見送りした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額(5,238円)は平成27年度の消耗品に充てる。
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Research Products
(11 results)