2013 Fiscal Year Research-status Report
強誘電性配位高分子を用いた低電圧駆動メモリトランジスタの創製
Project/Area Number |
25410077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
大久保 貴志 近畿大学, 理工学部, 准教授 (90322677)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 配位高分子 / 強誘電性 / トランジスタ / 薄膜化 |
Research Abstract |
トランジスタは情報の伝達、変換、蓄積の根幹に係わる電子デバイスであり、その性能はキャリア移動度など用いる半導体材料の性質に大きく依存する。本研究ではこれまで申請者らが独自に開発してきた強誘電性配位高分子を新たな半導体材料として用いることで、低電圧駆動メモリトランジスタを開発することを目的とした。平成25年度は主に新しい強誘電性配位高分子の開発と強誘電性配位高分子の薄膜作製法に関する研究を行った。それぞれの項目に関して以下に記す。(1)新規強誘電性配位高分子の開発:これまでの研究でジチオカルバミン酸を配位子とした単核銅二価錯体とハロゲン化銅を有機溶媒中で反応させることで種々の混合原子価配位高分子が生成することが明らかになっている。今年度は新たな強誘電性配位高分子の開発を目ざし、種々のジチオカルバミン酸誘導体を用いて配位高分子の合成を行った結果、ジメチルピペリジンを配位子とした銅二価単核錯体と臭化銅を反応させることで新規強誘電性配位高分子が生成することを明らかにした。(2)強誘電性配位高分子の薄膜作製法の探索:研究ではこれまで、強誘電性配位高分子単結晶を用いることで従来の有機FETに比べ1桁以上低電圧でFETが駆動することを見出している。しかしながら単結晶FETは電極界面およびゲート絶縁膜との接触の問題があり、なかなか再現性の良いデータが得られない。そこで今年度は特に強誘電性配位高分子の薄膜化を試みた。その結果、アセトンとアセトニトリルの混合溶媒に配位高分子を溶解し、一度構造を壊してバラバラにした溶液を、基板上に滴下することで配位高分子骨格が基板上に再生することを見出した。ただし、これまでのところこの配位高分子薄膜を用いたトランジスタに関しては電圧印加に対して非常に不安定であるため動作確認ができていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、新たに強誘電性配位高分子の開発を目ざし、新規配位高分子の合成を行ってきたところ、目的の強誘電性配位高分子に関しては新規化合物の合成に成功したものの、従来のキャリア移動度を超える強誘電性配位高分子の合成には成功していない。また、配位高分子の薄膜化に関して新たな方法を見出したが、これまでのところ、この配位高分子薄膜を用いてトランジスタ特性は確認できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新規強誘電性配位高分子の開発においては、より長いアルキル基を有するジチオカルバミン酸誘導体を用いることで更にキャリア移動度の大きな強誘電性配位高分子の実現を目指す。すなわち、これまでの研究で比較的長鎖アルキル基を有するジチオカルバミン酸銅錯体と臭化銅(II)を反応させた際、高い確率でキャリア移動度の高い強誘電性配位高分子が得られることがわかっているためである。また、トランジスタに関しては単結晶トランジスタの研究も行うが、それと同時に強誘電性配位高分子薄膜を用いたトランジスタを重点的に研究する予定である。この強誘電性配位高分子薄膜に関してはゲート絶縁膜および電極とのコンタクトが単結晶よりも良いため、再現性の向上が見込まれる。また、平成26年度に新たに導入するスプレーコーターを用いて強誘電性配位高分子の薄膜化を行い、トランジスタ特性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成用の消耗品として年度内に使用することを予定していたが、見積等の手続きが遅れてしまい、年度内に使用することができなかった。 次年度分として直ぐに手続きを行い予定していた消耗品を導入した。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Preparations and structural diversity of copper(I) ethylene adducts with related 3,6-bis(2-pyridyl)-1,2,4,5-tetrazine ligands2014
Author(s)
Masahiko Maekawa, Takeshi Miyazaki, Kunihisa Sugimoto, Takashi Okubo, Takayoshi Kuroda-Sowa, Megumu Munakata, Susumu Kitagawa
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Journal Title
Inorg. Chim. Acta
Volume: 410
Pages: 46-53
DOI
Peer Reviewed
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