2014 Fiscal Year Research-status Report
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25410089
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
生方 俊 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (00344028)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面レリーフ / アントラセン / 光物質移動 / パターニング / 液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
光物質移動現象の実用化のために、これまでに全く報告のない新規な動的光パターニング分子材料の開発を進めた。具体的には、可逆的に光連結および光開裂する光連結性基二つを、メソゲン基およびスペーサで接続した光連結性化合物を設計・合成した。 当該年度は、光連結性基であるアントラセン基二つと、新たなメソゲン基としてシクロヘキシルフェニル基やビフェニルジアマンタン基をアルキル基で接続した化合物の合成を試みたが、最終目的化合物の合成に至らなかった。そこでメソゲン基の検討は一時中断し、アントラセンの接続位置の検討に着手した。これまでアントラセンの9位で接続した化合物を目的化合物として合成してきたが、アントラセンの2位で接続した化合物に注目し、アントラセン基二つをエステル基およびアルキル基で接続した新規光連結性化合物を一つ合成した。偏光顕微鏡観察により、この化合物は液晶性を示すことが示唆された。 また、昨年度に設計・合成し、光表面レリーフが形成することを確認したビフェニル基および炭素数6のアルキルスペーサを介して二つのアントラセンを接続した化合物の薄膜中における光反応ついて、詳細な検討を行った。本化合物の薄膜へ紫外光照射を施し、紫外可視吸収スペクトル、およびその薄膜を溶解した溶液のゲル濾過クロマトグラフィーによる分析を行った結果、光表面レリーフが形成される過程において、露光部において分子間のアントラセンのダイマー形成反応に伴い、二量体から八量体程度のオリゴマーが形成されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、(1)光連結性分子群の設計および合成、(2)薄膜の作製と液晶性および光応答特性の評価、(3)光パターニング構造形成、の3つの課題の実施計画を設定し、研究を進めてきた。(1)の計画においては、3つの新規光連結性分子群を設計し、一つの化合物を合成できた。(2)において、1つの新規光連結性分子群の薄膜の液晶性および光応答特性を評価した結果、液晶性を示すことが示唆された。さらに(3)において、光パターニング形成時における光反応の追跡に成功した。以上より、ほぼ計画通りに進行し、研究目的は概ね計画通りに達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
ビスアントラセンの接続位置を変えることで、液晶性の付与に成功した。今後は、一連の液晶性光連結性分子を合成し、光パターニングの動的構造、消去・再形成の応答性、繰り返しの可逆性、空間分解能などを評価し、最高のパフォーマンスを持つ分子を見いだす。また、高いパフォーマンスを有する分子群と分子構造・分子秩序との相関を明らかにし、分子設計・合成へのフィードバックを行う。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通り研究を実施でき、次年度使用額はわずか1210円であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、元々の使用計画通り遂行する。
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