2013 Fiscal Year Research-status Report
硫酸イオンを含む新規多機能性金属酸化物クラスターの合成と機能発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
25410095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
上田 忠治 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (50294822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金野 大助 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (00361593)
恩田 歩武 高知大学, 教育研究部総合科学系, 講師 (80335918)
米村 俊昭 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (90240382)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリオキソメタレート錯体 / 合成 / 電気化学 |
Research Abstract |
硫酸イオンを中心イオンとして含み,骨格部分のタングステンユニットの一部をMn(II), Co(II), Ni(II), Cu(II), Ru(III),Pd(II)で置換した新規POM錯体の合成単離に成功した。その合成条件についても最適化を行い,比較的高い収率で合成できる事が可能になった。また,得られた新規POMは,IR, Raman, UV-Visおよびサイクリックボルタンメトリーによってキャラクタリゼーションを行った。 様々な解析の結果,これらの錯体は,Wells-Dawson型構造を有しており,その組成式は[S2MW17O61]n-であると示唆された。特にIRスペクトルに関して,S-O結合の伸縮振動に対応する1200-1000cm-1のピークは,元の[S2W18O62]4-場合は,シャープな2本のピークが現れる。一方,単離した新規POM錯体の場合,置換した金属に応じて,1200-1000cm-1のピークは,分裂したりシフトするという傾向が現れた。 また,アセトニトリル中におけるサイクリックボルタモグラムについても,[S2W18O62]4-の場合は,6つの可逆な1電子酸化還元波が観測されたが,新規POM錯体の場合は,置換した金属に応じて,ボルタンメトリックな挙動がかなり異なった。さらに,酸濃度に応じて酸化還元波は大きく変化した。つまり,置換した金属イオンと溶液中の酸濃度によって,POMの酸化還元能力を自在にコントロールできることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,当初予定していた使用する金属(Mn(II), Co(II), Ni(II), Cu(II), Ru(III),Pd(II))以外に希土類金属イオンも硫酸イオンを中心イオンとして含むPOMに導入することができ,キャラクタリゼーションを行う事が出来た。また,本研究に関連深い内容で,国際会議3件,国内会議12件,査読付き学術論文5編にまとめることが出来た。以上は,当初予定した以上に研究が達成できた点である。 しかし,多くの新規POMを単離することが出来たものの,様々な理由で元素分析が遅れており,また単結晶を得ることが出来ていないことから単結晶X線構造解析によって構造を確定できていない。これらについては,当初予定していた研究内容を実行出来ていない。以上の点を総合的に考えて評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
錯体のX線構造解析を行うための単結晶作りに集中し,一つでも多くの構造解析を行って構造決定する。それによって,DFT計算から,錯体の酸化還元挙動および光特性等の化学的特性の理論的解析を進める。 また,新規POM錯体のより詳細な電気化学的酸化還元挙動を調べる(酸化還元に及ぼすアニオンあるいはカチオンの影響,溶媒の影響など)とともに,酸化還元時に起こる化学変化や構造変化を,分光学的手法(UV-Vis, NMR, ESR)によっても調べる。実験で得られたボルタモグラムのデータにフィットするように,デジタルシュミレーションによって波形解析を行い,酸化還元反応メカニズムを確立する。それとともに,様々な平衡定数や電気化学パラメータを計算する。 単離できた新規POMに対応するリン酸イオンを中心イオンとして含む金属置換POMを既報の方法で合成する。合成した錯体は,種々のデータを測定し,硫酸イオン含有新規POMのデータと比較を行い,POMが示す様々な化学的性質とPOMの組成および構造との関連性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に計画していた研究内容の多くは実施できたが,目的としていた新規錯体のキャラクタリゼーションが遅れたため,それを主に担当する研究分担者が予算を使用することがなかったことが,主たる理由である。また,研究代表者およびその他の研究分担者に関して,それぞれ非常に少額の予算が残ったため,研究に使用できる適切な消耗品購入が不可能であったため。 平成25年度において実施できなかった研究計画を実施するための消耗品購入に充てて,無駄なく予算を使用する予定である。また,各研究者に関して,平成25年度に残った少額の予算については,平成26年度予算と合わせて,計画している研究内容を実施するために有効に使用する予定である。
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] コバルトサレン錯体の電気化学的酸化還元反応メカニズム2013
Author(s)
上田忠治, 小松大介, 河崎絢子, 上木美里, Chong-Yong Lee, Gareth Kennedy, Si-Xuan Guo, Alan M. Bond
Organizer
日本分析化学会第62年会
Place of Presentation
近畿大学東大阪キャンパス(大阪府)
Year and Date
20130910-20130912
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