2014 Fiscal Year Research-status Report
アズレンの特性を有する芳香族多環式構造の構築とその物性研究
Project/Area Number |
25410096
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末宗 洋 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20095897)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アズレン / ヘリセン / 有機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、塩化白金触媒による炭素骨格変換反応を基軸としたアズレン縮環系ヘリセン(AZH)類を創製し、その物理化学的諸性質の解明と新規材料としの応用研究を目指す。計画としている研究項目は、①アズレン縮環化合物の効率的合成法の開発、②AZH誘導体の合成とその物性評価、および③AZH誘導体の電子受容体材料としての応用研究の3つである。 H25年度は項目①の研究として塩化白金触媒(PtCl2)に電子欠損型含フッ素配位子(P(C6F5))を組み合わせることで置換アズレン誘導体を高収率で合成する手法を開発することに成功した(合成法1)。この成果はH26年度にアメリカ化学会誌に報告した(Org. Lett. 2014, 16, 4662-4665.)。更に、その後の研究で配位子を共存させない場合でも、親電子剤共存下、ツァイゼ塩[{(η2-C2H4)PtCl2]を触媒として用いることで、置換アズレン誘導体を合成する手法の開発にも成功した(投稿準備中、合成法2)。続いて項目②の研究として、項目①の合成技術を活用してAZH誘導体の合成を検討した。その結果、合成法2を適用することで、内部置換型[5]ヘリセン(10%)よりも優先的にアズレノヘリセン(64%)を合成することに成功した。又、研究計画書に記載したAZH二量体であるAZH-5に関しては、二段階の一電子移動を示すユニークならせん状機能分子であることをサイクリックボルタンメトリー解析およびX線結晶構造解析により明らかにした(Molbank 2015, 2015(1), M843.)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル分子で見出した条件をAZH誘導体の合成に適用し、選択的にAZH分子を合成することに成功した。加えて、合成したアズレン分子において物性評価を行いAZH-5においてユニークな電子特性を見出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、合成したAZH類のX線結晶構造解析および電子的特性(光電子収量分析装置によるイオオン化ポテンシャルの算出)の評価を行い、実際に有機薄膜太陽電池のn型半導体材料として発電効率を評価する。
|
Research Products
(24 results)