2014 Fiscal Year Research-status Report
イミノシクロブテノンの分子変換による新規含窒素ヘテロ環化合物の合成研究
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25410114
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
八谷 巌 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50312038)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イミン / シクロブテノン / 不斉還元 / β-ラクタム / キラルリン酸 / 共役付加反応 / δ-ラクタム / 求核付加反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らはイミノシクロブテノンの還元反応によって得られるアミノシクロブテノンの熱的開環-閉環反応により、抗生物質の代表的な骨格の一つでありかつ含窒素化合物を立体選択的に合成するための有用なビルディングブロックである、ラセミ体のcisおよびtrans-β-ラクタム化合物の高ジアステレオ選択的合成法を既に見出している。さらに、イミノシクロブテノンのエナンチオ選択的還元を経るキラルなβ-ラクタム合成の開発を行い、フェニル基を有するリン酸ジエステル触媒の存在下、還元剤としてベンゾチアゾリンを用いることにより、高エナンチオ選択的に対応するアミノシクロブテノンを得、引き続く熱的開環-閉環反応によって、キラルなcisおよびtrans-β-ラクタムの選択的合成にも成功している。そこで平成26年度は、そのキラルなβ-ラクタム合成法を鍵反応に用いる生理活性化合物の合成として、高脂血症治療薬Ezetimibeの類縁体合成に着手し、出発物質のアルキニルアルケニルイミンへのケテンシリルアセタールの共役付加反応を経るイミノシクロブテノンの合成を検討した。その結果、合成中間体のアルケニルイミノシクロブテノンを低収率ながら得ることができた。 また、平成25年度に合成法を確立したジアルキニルイミンに、ケテンシリルアセタールおよびトリメチルシリルシアニドを作用させたところ、有用な合成中間体である多置換δ-ラクタムが中程度の収率で得られることを見出した。すなわち、ケテンシリルアセタールが1,4-付加した後、生じた中間体のアルキニルアルケニルイミンのイミノ基にトリメチルシリルシアニドが1,2-付加した後、環化反応が進行した新規1,4-1,2-二重求核付加反応を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高脂血症治療薬Ezetimibeの類縁体合成における合成中間体のアルケニルイミノシクロブテノンを得ることができているため。また、ジアルキニルイミン、ケテンシリルアセタール、トリメチルシリルシアニドを用いた新規1,4-1,2-二重求核付加反応による多置換δ-ラクタムの合成法も見出しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画をさらに推進するために、各研究テーマに参加する大学院生の人数をさらに1名ずつ増員し、平成27年度で研究計画を達成する。
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Research Products
(11 results)