2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25410124
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
東林 修平 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (30338264)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バッキーボウル / ヘテロバッキーボウル / ヒドラジン / カルバゾール / 構造 / 酸化還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、ヒドラジン構造を骨格内に含むバッキーボウルの合成、構造、性質について主に研究を行い、以下のような成果を得た。 ①バタフライ型分子の合成 ジメチルアクリジン、フェノチアジン、アクリドンのジブロモ誘導体のNi(0)を用いた環化二量化反応によって、ダブルバタフライ型分子が合成できることを見出した。さらに、酸化的N-N結合形成反応によって、ヒドラジン構造を持つペリアセン類を合成した。ヒドラジノペリアセン類は、優れた可逆的酸化還元特性、蛍光発光などの物性を示すことを明らかにした。また、フェノチアジン骨格を有するダブルバタフライ型分子は、ヒドラジン構造を含むバッキーボウルに変換できることを見出した。 ②ヒドラジン構造を有するヘテロバッキーボウルの合成、構造、性質 フェノチアジン骨格を有するダブルバタフライ型分子を用いて、還元的脱硫反応によるフェノチアジン環からカルバゾール環への変換を鍵段階として、ヒドラジン構造を有するバッキーボウルの合成に成功した。また、選択的1電子酸化、2電子酸化によって、モノカチオン塩、ジカチオン塩を合成した。X線結晶構造解析、構造計算、NMR計算から、ヒドラジノバッキーボウルは、中性状態ではおわん型・ツイスト型、モノカチオンではおわん型、ジカチオンでは平面型の構造を有していることを明らかにした。中性、モノカチオン、ジカチオンは、化学的または電気化学的手法によって可逆的に酸化還元できることから、この分子は電子の授受によって、その構造を曲面構造と平面構造との間で制御することができる。 研究期間全体として、ピリジン環を含有するアザバッキーボウルの置換誘導体の合成、ヒドラジン構造を含有するアザバッキーボウルの合成を主な成果として達成した。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Acid/base-regulated reversible electron transfer disproportionation of N-N linked bicarbazole and biacridine derivatives2015
Author(s)
Palash Pandit, Koji Yamamoto, Toshikazu Nakamura, Katsuyuki Nishimura, Yuki Kurashige, Takeshi Yanai, Go Nakamura, Shigeyuki Masaoka, Ko Furukawa, Yumi Yakiyama, Masaki Kawano, Shuhei Higashibayashi
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Journal Title
Chem. Sci.
Volume: 6
Pages: 4160-4173
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] ヒドラジノバッキーボウルの合成と性質2016
Author(s)
東林修平, Palash Pandit, 春木理恵, 足立伸一, 熊井玲児
Organizer
日本化学会第96春季年会
Place of Presentation
京都府京田辺市同志社大学京田辺キャンパス
Year and Date
2016-03-24 – 2016-03-27
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[Presentation] Acid-responsive electron transfer disproportionation of N-N linked bicarbazole derivatives2015
Author(s)
Palash Pandit, Koji Yamamoto, Toshikazu Nakamura, Katsuyuki Nishimura, Yuki Kurashige, Takeshi Yanai, Go Nakamura, Shigeyuki Masaoka, Ko Furukawa, Yumi Yakiyama, Masaki Kawano, Shuhei Higashibayashi
Organizer
16th International Symposium on Novel Aromatic Compounds
Place of Presentation
スペイン, マドリッドコンプルテンセ大学
Year and Date
2015-07-05 – 2015-07-10
Int'l Joint Research
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[Presentation] ジアザヘリセン類の酸応答性電子移動不均化反応2015
Author(s)
東林修平, 山本浩司,Palash Pandit,中村敏和,西村勝之, 倉重佑輝,柳井毅,中村豪,正岡重行,古川貢, 焼山佑美, 河野正規
Organizer
第107回有機合成シンポジウム
Place of Presentation
東京都港区慶應義塾大学薬学部マルチメディア講堂
Year and Date
2015-06-09 – 2015-06-10
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