2015 Fiscal Year Annual Research Report
可動な結合点を基盤とするナノ-マクロ構造変換材料の創成
Project/Area Number |
25410125
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
打田 聖 東京工業大学, 理工学研究科, 講師 (70343168)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子合成 / ナノ材料 / ロタキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である27年度では、「ABA-A2Bトポロジー変換」および「ABC星型-直鎖トポロジー変換」の合成について研究を行った。「ABA-A2Bトポロジー変換」ではABA型トポロジーの際には中間のB鎖がA鎖によるドメイン間を橋架けするような構造となるため、機械的強度の上昇が観察された。また「ABC星型-直鎖トポロジー変換」の合成では、上記のABA-A2Bトポロジー変換の1つのA鎖をC鎖に変えることで合成を達成した。 このように本研究課題では、3年間の研究期間を通じてロタキサンという空間的に連結した構造を高分子の分岐点として導入することで、これまでにない新しい高分子の創製を行った。ロタキサンの環状分子は軸分子と化学的に連結していないために、比較的自由に運動できる点に注目し、このロタキサン構造を高分子鎖の分岐点とすることで、高分子鎖のトポロジーが変換できる高分子を合成した。高分子を材料として考えたとき、高分子鎖のトポロジーによってその材料の物性が変わることから、「分岐-線状トポロジー変換」では溶液中での高分子鎖の広がりが変わる材料となり、「ABA-A2Bトポロジー変換」ではミクロ相分離構造におけるB鎖が橋架け型のコンフォメーションを取ることから機械的強度が変わる材料となった。「ABC星型-直鎖トポロジー変換」ではミクロ相分離構造そのものが変わり、よりドラスティックに物性が変化する材料の創製を目指して合成を行った。 このようにロタキサンという分子サイズの構造変換によって、高分子鎖の広がりや相分離などのミクロな構造に影響を与え、最終的には高分子材料というマクロな物性へと伝達するような新しい高分子材料を創製した。
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