2015 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルリサイクルを指向した次世代ポリ乳酸の合成触媒開発
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25410127
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 信嘉 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70291408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 理貴 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20376940)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリ乳酸 / 立体選択性 / 重合触媒 / ラセミラクチド / 結晶性 / イソタクチック / 光学純度 / ケミカルリサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はmeso-ラクチドの重合を検討する予定であった。これはrac-乳酸からラクチドを合成する際、30-50%程度のmeso-ラクチドが生成するため、その有効利用のために立体選択的重合による結晶性ポリ乳酸合成が必要と考えていたからである。しかし、2015年にE. Y.-X. ChenらがLewis酸と塩基の塩(LP)を触媒に用いると、meso-ラクチドは95%以上の純度のrac-ラクチドへと変換されることが報告された。このためmeso-ラクチドの立体選択的重合触媒を開発する意義が大きく低下した。そこで、平成27年度は、これまで用いてきたrac-ラクチドに変わり、様々な光学純度のラクチドを用い、結晶性ポリ乳酸を合成できる系を開発する事にした。 現在市販されているポリ乳酸は、光学純度がほぼ100%のポリ乳酸である。このポリ乳酸をケミカルリサイクルリサイクルすると、L-乳酸のラセミ化による純度低下が避けられない。精製により光学純度を再び高めることもできるが、相当量の乳酸が利用できなくなる。そこで、rac-ラクチドの立体選択性が最も高かった触媒を用い、rac-ラクチド/L-ラクチド = 100/0~0/100のモノマー混合物の重合反応を検討し、生成したポリマーの熱的性質を調べた。得られたポリマーの光学純度は、比旋光度により評価した。生成するポリ乳酸の光学純度は、モノマーの仕込みの値よりやや高かったものの、概ねモノマーの光学純度に近い値を示した。得られたポリ乳酸は、その光学純度により結晶化度および融点の値が大きく変化した。結晶化度は光学純度60%程度のポリマーが最も低かったが、何れのポリ乳酸も結晶性を示し、この重合触媒がケミカルリサイクルの際に用いる重合触媒として優れていることが示された。
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Research Products
(4 results)