2015 Fiscal Year Annual Research Report
精密合成らせん高分子のシークエンス制御に基づいた水中不斉合成反応場の構築
Project/Area Number |
25410128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長田 裕也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60512762)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | らせん高分子 / 不斉増幅 / ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル) / らせん反転 / 不斉反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
水は入手容易かつ無毒・無害という優れた溶媒であり、水中で進行する反応系の開発は強い関心を集めている。我々のグループでは、ジイソシアノベンゼンの不斉リビング重合によって得られるポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)(以下ポリキノキサリンと呼ぶ)に関する研究を行なってきた。ポリキノキサリンは主鎖にらせん構造を有しており、側鎖に導入したキラル置換基によって、主鎖らせん不斉を完全に制御可能であることを見出している。本年度の研究では、ポリキノキサリンの不斉増幅作用に着目し、低い鏡像体過剰率の2級アルコールの側鎖への導入によって主鎖に一方向巻きらせん構造を誘起させ、水存在下での不斉鈴木宮浦カップリング反応を行なった。過去の論文(Tetrahedron Lett. 2011, 52, 1485)に従って、2-オクタノノンの水中不斉還元を行い、23% eeの2-オクタノールを得た。これをポリキノキサリンの側鎖に導入したところ、主鎖はほぼ完全な一方向巻きらせん(>99% se)を取ることがわかり、また溶媒に応じて主鎖らせんキラリティが反転することが分かった。このポリキノキサリンを主骨格として用いた高分子不斉配位子存在下で、不斉鈴木宮浦カップリング反応を行なったところ、テトラヒドロフラン/水を溶媒として用いた場合では、93% eeでS体の生成物が得られるのに対して、テトラヒドロフラン/1,1,2-トリクロロエタン/水を溶媒として用いた場合では、92% eeでR体の生成物が得られることがわかった。
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