2013 Fiscal Year Research-status Report
低温での高分子溶液物性測定法の確立と低温に特異ならせん構造や液晶構造への応用
Project/Area Number |
25410130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺尾 憲 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (60334132)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低温 / 小角X線散乱 / ポリスチレン / 環状多糖誘導体 / ポリシラン / サーモクロミズム |
Research Abstract |
希薄溶液中での高分子の分子形態や分子間相互作用を多くの有機溶剤の融点である-100℃まで可能にするため、当研究室で設計、試作したセルと低温窒素吹付装置を組み合わせ、セルの形状を最適化するとともに、窒素の流速や測定時間などの測定条件を調整し、低温での測定を可能にすることができた。得られた装置を用いて、ポリスチレン、剛直な環状多糖誘導体、そしてポリシラン類について広い温度範囲で希薄溶液物性の測定を行った。これらのうち、コンホメーションの自由度のほとんどない環状多糖誘導体の広がりにほとんど温度依存性がみられなかったことから、当測定法の精度が確認できた。これに対し、そのコンホメーションが熱揺らぎの影響を受けると考えられるポリスチレンについて、トルエン溶液中では温度の低下とともに非摂動広がりが単調に増加するという、回転異性体近似モデルから予想される結果が得られたのに対し、2-ブタノン中では広がりの温度依存性に極小がみられることを発見した。2-ブタノン中のカルボニルとポリスチレンのベンゼン環の相互作用によると考えられる。これらの結果はPolymer Journal誌に投稿し、掲載された。さらに、低温領域でサーモクロミズムを示し、主鎖に顕著なコンホメーション変化が期待されるジアルキルポリシラン類について、広い温度範囲で小角X線散乱測定および、極小角X線散乱測定を行い、分子形態および分子間相互作用に関するデータを得た。現在、理論的な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小角X線散乱の測定法の開発にはほぼ成功し、ポリスチレンの結果については論文投稿まで、ポリシランの結果についても学会発表をすることができているため
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Strategy for Future Research Activity |
ポリシランについて広がり、分子間相互作用、紫外吸収の相関を解析し、ポリシランのサーモクロミズムと、分子形態や分子間相互作用との相関を明らかにする。さらに、低温で得意な挙動を示すと推察される多糖誘導体の溶液、さらにはその液晶についても検討を進める
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬や器具等、研究室在庫のものが利用できたほか、他研究費(運営費交付金)を充当することができたため 研究の進展に伴う興味が持たれる低温物性に対する新たなアイデアに対応し、新規の測定機器の開発、高分子合成、および高分子試料を購入するの資金に充てる
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Research Products
(8 results)