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2013 Fiscal Year Research-status Report

高分子ゲルの膨潤をシグナル増幅の原理とする糖センシングナノ粒子の開発

Research Project

Project/Area Number 25410141
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

遠田 浩司  富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (60212065)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsオプティカルセンサー / 血糖値 / グルコースレセプター / フェニルボロン酸 / 競争的錯形成反応 / 高分子架橋点
Research Abstract

高分子ゲルの膨潤をシグナル増幅の原理とする糖センシングナノ粒子の開発を目的とし,平成25年度は重合性官能基を導入したボロン酸レセプター及び機能性色素の合成を行なった。また,合成したボロン酸レセプター/機能性色素複合体を架橋点とする高分子ゲルフィルムの合成を行ない,そのフルクトースに対する応答挙動の検討を行った。
1. 重合性官能基を有するレセプター及び機能性色素の合成:高分子ゲルの膨張がセンサー応答の増幅をもたらすか検証するために,重合性官能基を導入した単純な構造の糖レセプター及び色素を合成した。まずm-アミノフェニルボロン酸を塩化アクロイルで処理し,アクリル基を有するレセプターを合成した。次に,カテコール部位を有するアゾベンゼンカルボン酸をアミノメチルメタクレートで処理し,メタクリル基を有する機能性色素を合成した。
2. レセプター/色素複合体を架橋点とする高分子ゲルフィルムの合成:合成した重合性官能基を有するボロン酸レセプター/機能性色素錯体を含むアクリルアミドモノマー溶液を,厚さ12μmのスペーサーを介した2枚のスライドガラスの間に導入し,熱重合することにより高分子ゲルフィルムを合成した。
3. センシングフィルムの糖に対する応答挙動の評価:合成したセンシングフィルムを自作のフローセルに組み込み,光ファイバー分光器付属顕微鏡デジタルビデオシステムを用いて,フルクトースに対するセンシングフィルムの応答挙動を観察した。その結果,フルクトース濃度の増加に応じてセンシングフィルムが膨潤すると同時に,450nmにおける吸光度が減少することが分かった。このセンシングフィルムのフルクトースに対する吸光度変化は,同様のレセプターと色素を高分子フィルム上に固定化したセンサーのものより10倍以上大きく,センシングフィルムの膨潤によるセンサー応答の増幅が確認できた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成25年度研究計画として,高分子ゲルの膨潤の機構をセンサー応答の増幅に用いることが可能か検証するための1)単純な構造を持つボロン酸レセプター/機能性色素複合体を架橋点とする高分子ゲルフィルムの合成と評価,及びセンシングフィルムのグルコースに対する認識能向上を目指した2)高分子ゲル架橋点用グルコースレセプターの開発を挙げている。
1)に関しては,既に重合性官能基を導入したボロン酸レセプターと機能性色素の合成を完了している。またレセプター/機能性色素複合体を架橋点とするポリアクリルアミドに基づく高分子ゲルフィルムの合成にも成功し,このセンシングフィルムがフルクトースに対し膨潤によるセンサー応答の増幅能を有することを確認している。
2)に関しては,既にグルコースに対する結合定数がフェニルボロン酸に比べ600倍以上高いビスベンゾボロキソールレセプターを開発しており,現在このレセプターに重合性官能基を導入中である。
以上の理由で,本研究は,おおむね当初の計画通り順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

1)高分子ゲル架橋点用近赤外吸収色素の開発:ジヒドロキシアゾベンゼン/フェニルボロン酸錯体は,糖添加による競争的錯形成反応に伴いその錯体が解離し,吸収スペクトルが変化する。しかし,ジヒドロキシアゾベンゼンの最大吸収波長は皮膚組織による光学的干渉の大きい可視光域(450nm)にあり,ウエアラブルセンサー用色素としては適さない。そこで,フェニルボロン酸との錯形成で近赤外領域の吸収スペクトルが変化するボロンジピロメセン色素(BODIPY)に重合性官能基を導入した機能性色素の合成を行なう。また,レセプターとの結合能が異なるサリチル酸やサリチルアルコール部位を有する色素の合成も行なう。
2)レセプター/色素複合体を架橋点とするグルコースセンシング高分子ゲルフィルムの合成と評価:開発したグルコースレセプター/レセプター感応性近赤外色素複合体を架橋点とする高分子ゲルフィルムを調製し,グルコースに対する吸収スペクトル応答の大きさ,応答速度,可逆性について詳細に評価する。もし,ゲル膨潤に伴うシグナル増幅能が十分でない場合は,架橋点のレセプター/色素錯体の結合が強すぎるためと考えられるので, ボロン酸レセプターに対し,より親和力の小さいサリチル酸やサリチルアルコール部位を有するBODIPY系色素を用いたフィルムを調製し,グルコースに対する応答を評価する。
3)グルコースセンシング高分子ゲルナノ粒子の開発:グルコースレセプター/色素錯体と単感応モノマーにSDS等の界面活性剤を加え,乳化重合を行なうことにより迅速な応答が期待できるグルコースセンシング高分子ゲルナノ粒子の構築を行なう。得られたナノビーズはアガロースゲルで固定化し,光ファイバー分光器を用いてグルコースに対する応答の大きさ,応答速度再現性について詳細に評価し,研究を取りまとめる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Development of Optical Sugar Sensors as Implantable Devices for Interstitial Glucose Monitoring2013

    • Author(s)
      Koji Tohda
    • Journal Title

      BUNSEKI KAGAKU

      Volume: 62 Pages: 903-914

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ビスベンゾボロキソール型グルコースレセプターの開発研究

    • Author(s)
      吉川慧,末廣智子,遠田浩司
    • Organizer
      第73回分析化学討論会
    • Place of Presentation
      北海道大学(函館)
  • [Presentation] ビスベンゾボロキソール型レセプター/機能性色素固定化オプティカルグルコースセンシングフィルムの開発

    • Author(s)
      吉川慧,末廣智子,遠田浩司
    • Organizer
      日本分析化学会第62年会
    • Place of Presentation
      近畿大学(大阪)
  • [Presentation] 酵素に基づくオプティカル糖センシングフィルムの開発

    • Author(s)
      横井裕行,安田祭花,遠田浩司
    • Organizer
      日本分析化学会第62年会
    • Place of Presentation
      近畿大学(大阪)
  • [Presentation] 競争的錯形成反応に基づくオプティカル糖センシングフィルムの開発

    • Author(s)
      詠智寛,出崎雄太,植村宗右,遠田浩司
    • Organizer
      日本分析化学会第62年会
    • Place of Presentation
      近畿大学(大阪)

URL: 

Published: 2015-05-28  

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