2013 Fiscal Year Research-status Report
高感度プロテオミクスを指向したナノ構造基板による高機能バイオチップの創製
Project/Area Number |
25410151
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
矢野 和義 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (40262109)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | プロテオミクス / プラズマ重合 / 分析化学 / 薄膜 / 蛍光 |
Research Abstract |
初年度は、金属膜とプラズマ重合膜からなるナノ構造体上に一次抗体を固定化し、抗原と相互作用させたのち、蛍光標識された二次抗体を相互作用させる抗体サンドイッチアッセイを試みた。すなわち、薄膜内の光干渉現象を利用して蛍光シグナルを増幅することで、試料タンパク質の高感度検出を図った。今回はターゲット分子として一般的な炎症マーカーであるC-reactive protein(CRP)を用いた。 96穴マイクロプレート上に、まずスパッタリング装置にて金属膜(Ag)を約200 nm製膜し、さらにその上にヘキサメチルジシロキサンをモノマーとしたプラズマ重合膜を約53 nm製膜した。その後、各ウェル上に一次抗体(rabbit由来抗human CRP抗体)を物理吸着により固定化し、CRPと相互作用させたのち、二次抗体(mouse由来抗human CRP抗体)、引き続き蛍光標識三次抗体(Cy3標識抗mouse IgG抗体)を相互作用させることで、高感度な抗体サンドイッチアッセイを試みた。 測定の結果、500 ng/mLのCRPを用いたとき、未修飾のマイクロプレートと比べてナノ構造マイクロプレートからの蛍光シグナルが約10倍に増幅されていた。また100 ng/mL以下になると、未修飾マイクロプレートではシグナルが全く検出されなくなったのに対して、ナノ構造マイクロプレートでは20 ng/mLでも蛍光シグナルが認められた。以上のことから、ナノ構造をもったマイクロプレートによって標的タンパク質をより高感度に検出できることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオアッセイにおいて一般的に行われている、96穴マイクロプレートを用いた抗体サンドイッチアッセイを、ナノ積層構造をもったマイクロプレートでより高感度に行えることを実証できた。すなわち、未修飾マイクロプレートに比べてナノ積層マイクロプレートはターゲットによる蛍光シグナルを約10倍に増幅でき、かつより低濃度まで検出することが可能であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究において高感度な検出は達成できたが、特異性の評価は十分ではなかったので、次年度はこの点を含めさらに別なターゲット分子についても検討していきたい。また抗体を分子認識素子として用いたイムノアッセイを高感度化できることは示せたので、次年度は固定化生体素子を抗体からDNAアプタマーに換え、同様の効果が得られるかを検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定の高感度イムノアッセイの目標を、想定より低い予算で達成することができたが、特異性の評価や適用するターゲット分子の汎用性の検討は行っていなかった。そのため次年度使用額が生じた。 高感度イムノアッセイをさらに検証するためには、さまざまな抗原とその対照分子、またさらに多くの抗体群をそろえる必要がある。そこで、次年度使用額と平成26年度請求額を合わせた約206万円のうち、約50万円を上記の抗原、抗体分子の購入にあてる。また平成26年度に計画しているDNAアプタマーを用いたアッセイを行うため、各種DNA鎖や様々な種類の蛍光色素などの購入、学会発表のための出張等を残りの予算で執行する。
|