2014 Fiscal Year Research-status Report
バイオ分析のための800nmを超える高輝度蛍光色素の開発
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25410152
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 真一 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (50317294)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロロフィル / アミン / 蛍光 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外領域に強いQy吸収帯を持つクロロフィル類は、バイオセンシングへの応用を指向した機能性色素の基本骨格として有用である。今年度は、クロリン環の様々な位置にカルボキシル基を導入した一連の誘導体を合成し、酸・塩基反応を利用したアミン定量試薬としての可能性を検討した。Qy軸上の3位に官能基を持つ誘導体は、7位あるいは8位カルボン酸よりもアミン添加に伴うピークシフトの幅が大きかった。また3位にアクリル酸部位を持つ誘導体を用いてTHF中におけるトリエチルアミン濃度の測定を行ったところ、約2%(v/v)までのアミン濃度変化に伴い吸収のQyピークは681nmから677nmへとシフトし、Soret帯付近の417nmで励起することにより蛍光ピークは685nmから681nmへの変化として、アミン濃度変化に対応した応答をすることが分かった。更にカルボン酸部位を持つクロリン類を酸化チタン上に固定させ色素増感太陽電池の特性を調べたところ、3位はアクリル酸・13位はケトカルボニル基・20位は水素原子・中心金属はなし(フリーベース体)の組み合わせが最も高い光電変換効率を示すことが明らかとなった。 一方、別のタイプのクロロフィル誘導体として、31位および32位にフェニルスルファニル基を有するクロリンを合成し、光学特性を評価した。どちらの誘導体も類似した吸収および蛍光スペクトルを示したが、蛍光量子収率は31位置換体(0.18)の方が32位置換体(0.25)よりも約30%小さくなった。リファレンス化合物である3位エチル体の量子収率は0.24であったことから、31位へ硫黄原子を入れることによりクロリン環の発光に重原子効果が表れることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規な蛍光色素を合成し、基礎的な分光学的データの収集を行って学術論文に報告することができた。すなわち、クロロフィルを原料として、カルボン酸部位を有する一連の誘導体を合成し、アミン濃度に応じて吸収・蛍光ピークの位置がシフトする分析試薬を開発した。測定対象としているアミンは中性分子であり、前年度に開発したアニオン補足能を持つ機能性クロリンを補完するタイプの蛍光色素であり、バイオセンシングへの応用につながる成果である。 紅色光合成細菌の生産する色素(バクテリオクロロフィル-a)を素材とした蛍光分子の合成については、13位置換基を電子吸引性に変換することにより、天然のバクテリオクロリンの発光を長波長化できることを見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
・バクテリオクロロフィル-aを素材とした蛍光分子の合成を進め、より長波長領域に発光極大をもつ機能性色素を開発する。 ・クロロゾーム型クロロフィル類が水系溶媒中で自己会合体を形成すると蛍光が消光する現象を利用し、アミノ酸など水溶液中の生体関連物質を定量できる系を確立する。
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Causes of Carryover |
予定していた学会(日本化学会第95春季年会)への参加を取りやめ、発表は共同研究者が行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として試薬の購入に使用する。
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Research Products
(6 results)