2013 Fiscal Year Research-status Report
微小分散液滴を利用したバイオメディカル分析法の開発
Project/Area Number |
25410153
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
橋本 雅彦 同志社大学, 理工学部, 准教授 (20439251)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 油中水滴 / 単分散性 / 一分子PCR / マイクロ流体チップ |
Research Abstract |
研究実施計画に記した通り、平成25年度は本研究課題における第一ステージと位置付け、微小分散液滴を基盤とした変異解析プラットフォームを構築するためのプロセス要素技術の開発に取り組んだ。とりわけ、分散液滴調製プロセスの開発に重点的に取り組んだ。 まず、マイクロミキサーやホモジナイザーを用いることで油中水滴の作製を試みたが、目的とする単分散性および安定性の高い液滴を調製することはできなかった。そこで、ポリジメチルシロキサン(PDMS)製のマイクロ流体チップを新たに設計し、極めて粒径の揃った油中水滴を作製することを試みた。チップ上のマイクロチャンネルの寸法、油相・水相の組成および送液速度など様々な因子の最適化を行うことにより、極めて単分散性の高い油中液滴を作製することに成功した。生成した液滴の平均粒径はおよそ90ミクロンであり、その多分散インデックスは2%以下であった。また、このような粒径の揃った液滴5万個をおよそ100分で作製することが可能であった。ここで得られた液滴数は、試料中のDNA分子の個々に対して微小反応容器と成り得る充分な数である。そこで、これらの単分散液滴にDNA一分子ずつを内包させ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。35回の熱サイクル後の液滴を観察したところ、液滴の崩壊は観られず本液滴の高い安定性が示された。また、液滴内にて一分子からのPCR増幅が進行しているか確認したところ、増幅が達成されたことを示す蛍光シグナルが一部の液滴において観られ、この蛍光を示した液滴の数はポアソン分布から予測される値と良好な一致を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、単分散性の高い油中水滴を作製することを主たる目的としており、予定通り粒径が極めて良好に揃った液滴をマイクロ流体技術を用いて調製することを達成したため。また、DNA一分子ずつが個々の液滴に内包されていることが、一分子PCR実験結果から裏付けられたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画が概ね達成されたため、平成26年度は当初実施計画に記した検討内容を実施していく。しかし、平成25年度に達成することができなかった項目として液滴作製の高速性が挙げられるため、この点については平成26年度も引き続き検討を重ねる。
|
Research Products
(10 results)