2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25410162
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平野 悠 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (70415735)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 電気化学 / SECM / 心筋細胞 / 一細胞分析 / マイクロ電極 |
Research Abstract |
薬剤の心臓への副作用は重篤な場合死に至る。そのため、創薬において心臓へ与える影響の評価は必須となっており、心筋細胞を対象として拍動パターンを解析するアッセイ系が利用されている。しかしながら、測定対象となる生体から取り出した細胞は目的以外の細胞含んでいることから定量性に課題があり、また、測定可能な細胞動態も限定されていた。本研究では、細胞を対象に、非接触かつ多機能な観察が可能である走査型電気化学顕微鏡(SECM)を利用して、心筋細胞の動き、代謝活性を一細胞レベルで解析可能なシステムの開発を目指している。平成25年度は、心筋細胞の動きと酸素消費を同一細胞で評価可能なシステムを開発した。具体的には、細胞と同程度のサイズ(10 μm)のPtディスク電極を作製し、細胞接着面と垂直方向に電極を走査しながら電流を記録するアプローチカーブ測定を利用して細胞直上1-10 μmの位置に正確に配置するシステムを開発した。さらに、細胞近傍に配置した電極で観察される微小電流を高速サンプリングすることで、細胞の収縮、弛緩に伴う拍動パターンを電流応答として測定した。また、同じ電極を利用して酸素の還元電流を測定することで、心筋細胞の酸素消費速度を測定可能なシステムを開発した。これらの一連の測定を連続して行うことで、同一細胞で心筋細胞の拍動に伴う動きと酸素消費の評価が可能となった。開発したシステムを用いて、実際に使われている薬剤を添加した時の細胞動態を測定し、強心剤の薬理作用評価への応用が可能であることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、研究実施計画通りに心筋細胞の動きと酸素消費を同一細胞で評価するための装置、制御プログラムを開発し、成果を発表することができたためおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に従って酵素固定化マイクロ電極の開発を進め、平成25年度に開発したシステムと統合することで、細胞レベルでの代謝活性の評価を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、心筋細胞評価システムの制御・解析プログラムの開発を主に行ったことから細胞・試薬の購入が計画よりも少なくなった。 平成26年度は酵素固定化マイクロ電極を開発することから細胞、試薬の使用量が増える予定であり、また、装置の改造費用などを見込んでいる。
|