2014 Fiscal Year Research-status Report
生細胞内クロスリンク反応によるDDSを用いない二本鎖核酸導入法の開発
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25410165
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 浩輔 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70415686)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヌクレオシド誘導体 / クロスリンク反応 / オリゴヌクレオチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではsiRNAの医療応用を目指し、DDSを必要としない一本鎖核酸を導入するだけで、二本鎖siRNAを細胞内で発現する系の確立を行っている。平成26年度は前年度に引き続き新規ヌクレオシド誘導体の合成検討と新たに設計したチオールと反応するヌクレオシドのオリゴヌクレオチドへの導入・性質の検討を行った。 前年度までの検討ではヘック反応によりC-ヌクレオシドとした後に、アミノ基のヨード化を経由して目的とするホスホロアミダイト体の合成を行っていたが、本経路では収率が悪く、必要量の合成を行うには効率が悪かった。そこで、置換基をフッ素としておき、直接的にチオールを反応させる合成経路へと変更した。 また、チオール基と選択的にクロスリンクする核酸塩基部として、新たに4-halopyridine誘導体を設計した。本誘導体の合成は4-halopyridineを出発原料としてヨード化、ヘック反応によるC-グリコシル化を行った後に各種保護基を導入し、ホスホロアミダイトユニットへと導く経路により合成を行った。 まずはモノヌクレオシドを用いてチオールとの反応を検討した。その結果、多少反応時間はかかるものの、反応は単一の生成物を与えて進行することが明らかとなった。そこで、本ヌクレオシド誘導体をオリゴヌクレオチドへと導入した。オリゴヌクレオチドの合成は通常のDNA合成機の条件にて可能であった。HPLCによる単離精製を行った後に得られたオリゴヌクレオチドの二本鎖融解温度(Tm値)の測定を行った。その結果、Tm値は10度程度低下することが明らかとなった。これはhalo基として導入したクロロ基の大きいため、立体反発を生じ、いわゆるワトソン・クリックタイプの水素結合を形成できなくなったためであると考察した。一方、CDスペクトルの測定から、二本鎖全体の構造については天然型と比較して大きな違いはないものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は前年度に行ったヌクレオシド誘導体の合成経路を改善し、フッ素体を経由することでより効率よく合成することができる経路を確立した。 また、別途新規ヌクレオシド誘導体として、4-halopyridine誘導体を設計し、その合成を達成した。さらにこのものをオリゴヌクレオチドへと導入し、その性質についても解析を行った。その結果、二本鎖の熱的安定性は低下するものの、全体の構造は維持されていることを明らかにした。 現在はクロスリンク反応の検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は最終年度であるので、まずは先行している4-halopyridineを含むオリゴヌクレオチドについてクロスリンクの評価と細胞での評価を行う。 また、合成法を変更したヌクレオシド誘導体についても順次オリゴヌクレオチドへの導入、性質の検討、クロスリンクの評価、細胞系での評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施した物品費の支払いが反映されていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の残金分15256円については平成26年度に実施した新規ヌクレオシド誘導体を含むオリゴヌクレオチドの性質評価に使用する。
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Research Products
(7 results)