2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25410166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇井 美穂子 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30549580)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光制御 / 光受容蛋白質 / PYP / 非天然アミノ酸導入 / モジュール化 |
Research Abstract |
本年度は、非天然アミノ酸を導入した改変型PYPの構築とそれらの物性評価を行った。N末端のメチオニン部位へ非天然アミノ酸L-homopropargylglycine (L-Hpg)を導入したHpg1-PYP(M18A/M91A/M100A/M109A)は、光照射下、非照射下における紫外可視吸収スペクトルおよび円偏光二色性スペクトル測定において、光照射によって450 nm付近の吸光度および楕円率が上昇し、野生型PYPが示すような光応答とは逆の挙動を示した。これについて紫外可視吸収スペクトルの時間分解測定および経時変化を解析した結果、Hpg-PYPは吸光度光反応サイクルを保持しておらず、光応答の可逆性もないことが明らかとなった。そこで、Hpgの導入をN末端に限らず野生型PYPに由来するM18, M91, M100, M109へも同時に導入したHpg5-PYPを新たに調製し、その分子特性評価を行った。まず、L-Hpgを添加したM9最少培地にて大腸菌B834(DE3)株を用いた大量培養を行い、再構築後、Hpg5-PYPを収率10 mg/ 1L cultureで得た。次に、紫外可視吸収スペクトルおよび円偏光二色性スペクトル測定にて解析した結果、Hpg5-PYPは野生型PYPに類似した光応答性を示し、かつ光反応中間体の寿命は野生型と比較して16倍以上長いことが明らかとなった。また、Hpg残基の反応性について評価したところ、5つのアルキニル基のうち2~3つがアジド基に対する良好な反応性を有していることが示唆された。 さらに、PYPのモジュール化に向けて、アルキニル基の代わりにアジド基導入に向けて研究を進めている。これまでに、非天然アミノ酸L-azidohomoalanine (L-Aha)の合成を行い、目的化合物を得ることが出来た。これを用いて、現在、PYPのアジド基導入体を発現および調製法を確立している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、研究計画に基づき、アルキニル基を有する非天然アミノ酸L-Hpgを導入した2種類の改変型PYPの構築と分子特性評価を行い、PYPの光応答性モジュール化に向けた研究基盤を構築した。一方、アジド基を有するL-Ahaについては合成が完了した段階であり、本年度中に予定していたPYPへの導入は今後の検討課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に構築したHpg-PYP、Hpg5-PYPに加え、同様の手法を用いて、Hpgの導入数を減らした改変型PYPおよびアジド基導入型PYPの調製と分子特性評価を行う予定である。Hpgの導入数を減らすことでクリック反応の反応点が限定され、目的蛋白質への修飾位置についてもデザインしやすくなると考えられる。それと並行して、モデル蛋白質としてアクチン等を用い、Hpg5-PYPの蛋白質修飾について検討していくと同時に、Hpg5-PYPを利用した機能性分子の開発も進めていく予定である。さらに、アジド基を導入した改変型PYPについても調製し、分子特性評価を進める。目的とする改変型PYPが出来次第、それらを用いた蛋白質の光制御系の構築に向けて順次、検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額とあわせ、計画している研究の遂行に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)