2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25410166
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇井 美穂子 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30549580)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光受容蛋白質 / PYP / 光応答性材料 / 光制御 / クリック反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
外部刺激として光は高時空間分解能にてコントロールが可能である上、非侵襲的な側面を併せ持つことから、生体分子制御において有効な手段の一つである。本研究では、光受容蛋白質photo active yellow protein (PYP)に着目し、反応性官能基を導入することによって蛋白質を基盤とする光応答性モジュールを開発した。PYPは、分子量が14 kDaと比較的小さく水溶性であり、光照射に伴い大きな構造変化を起こす特長がある。 まず、PYPのN末端部位にのみ官能基を導入した改変体を構築した。しかし、分光学的解析にて光応答性が観察されたが明瞭な光反応サイクルの存在は確認できなかった。一方、分子内に5つのアルキニル基を導入した改変型PYPでは野生型PYPと類似した分光学的特性が観察され、光反応サイクルの存在が明らかとなった。中間体の寿命に関しては、野生型PYPと比較して延長していることが示唆された。 本年度は、特に光応答性モジュールとしての反応性を向上させるため、PYPへ導入する官能基、連結の際に用いるリンカーの検討を行い、無触媒下でのクリック反応を利用することで効率良く反応が進むことを見出した。 蛋白質制御への足掛りとして改変型PYPを合成親水性高分子へ化学反応を介して連結し、得られた複合体の光応答性を含めた分子特性について議論した。構築した複合体中において改変型PYPは、中間体の寿命が未反応のものと比較して延長していたものの青色光に対する反応性かつ光反応サイクルを有することが分光学的解析から示された。さらに、水晶振動子による粘弾性計測システムを用いて得られた高分子複合体を解析したところ、青色光照射下では粘度が低下することが明らかとなった。これらの結果は、光応答性モジュールの有効性を示すばかりではなく、蛋白質を用いた光応答性マテリアル開発へ貢献するものと期待できる。
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Research Products
(5 results)