2013 Fiscal Year Research-status Report
完全弾性体を目指したDNAナノゲル薄膜の構築とその評価
Project/Area Number |
25410173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
古澤 宏幸 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (60345395)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水晶発振子 / アドミッタンス解析 / エネルギー散逸値 / 動的粘弾性測定 / 貯蔵弾性率 / 損失弾性率 / ポリジメチルシロキサン |
Research Abstract |
本研究では、精密な構造を形成可能な生体高分子であるDNAを利用して完全均一性構造体のゲル薄膜をずり振動を生じる水晶発振子基板上に構築し、様々な周波数で振動させることで動的粘弾性測定を行い、従来の不均一構造体のゲルでは見られないような特異な力学物性を示すかどうかを明らかにすることを目的とする。 本年度は、水晶薄片の両面に金電極を蒸着し交流電圧を印加することにより水晶板を規則正しく振動させた水晶発振子に、ネットワークアナライザーを接続してアドミッタンス解析を行うことで振動のエネルギー散逸値を求め、そこから動的粘弾性のパラメータである貯蔵弾性率および損失弾性率を求める方法論の妥当性の検証を検討した。 測定サンプルとして、既存の合成高分子であるポリスチレン(PS)やポリジメチルシロキサン(PDMS)を水晶発振子基板上にキャストし動的粘弾性測定を行ったところ、ポリスチレン薄膜はほぼ完全な弾性体の性質を示し、ポリジメチルシロキサンの薄膜は架橋剤の増加に従って貯蔵弾性率が増加し、文献値に近い値を示した。その他には、親水性ゲルとしてよく用いられているアクリルアミドゲルやアガロースゲルの薄膜も同様に測定を実施した。 以上の結果より、水晶発振子がずり振動をプローブとしてその基板上に固定された数百nmの薄膜の物性を、振動伝播の様子からずり弾性率を求めることが可能であることが確認でき、本手法によりごく少量しか入手できないような生体分子などの弾性率を求めることができるようになることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非常に薄いDNAのナノゲル薄膜の力学物性を測定できる装置として水晶発振子を利用できることを、既存のマテリアルであるポリスチレンやポリジメチルシロキサンをサンプルとして用いることで確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
水晶発振子基板上に4分岐型DNAを用いて四面体ネットワーク形成によりダイヤモンド構造様の構造体を有するDNAナノゲル薄膜を調製する。DNAの配列設計において、最適なDNAののりしろの長さや配列、アームの長さを検討し、DNAネットワークの多層構造体が基板上で構築されるかについて確認実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に購入予定の物品等が納期の都合上、次年度になったため。 次年度も使用するルーチンの物品等のため、当初の使用計画の変更等はない。
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