2014 Fiscal Year Research-status Report
完全弾性体を目指したDNAナノゲル薄膜の構築とその評価
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25410173
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
古澤 宏幸 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (60345395)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水晶発振子 / アドミッタンス解析 / エネルギー散逸値 / 動的粘弾性測定 / 貯蔵弾性率 / 損失弾性率 / DNAネットワーク薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、精密な構造を形成可能な生体高分子であるDNAを利用して完全均一性構造体のゲル薄膜をずり振動を生じる水晶発振子基板上に構築し、様々な周波数で振動させることで動的粘弾性測定を行い、従来の不均一構造体のゲルでは見られないような特異な力学物性を示すかどうかを明らかにすることを目的とする。 昨年度は、水晶薄片の両面に金電極を蒸着し交流電圧を印加することにより水晶板を規則正しく振動させた水晶発振子に、ネットワークアナライザーを接続してアドミッタンス解析を行うことで振動のエネルギー散逸値を求め、そこから水晶板上の薄膜物体に対して動的粘弾性のパラメータである貯蔵弾性率および損失弾性率を求めることができることを確認した。 本年度は、DNAのカスタム合成により規定された分子長、二重鎖形成時の剛直性、塩基配列設計によるプログラムされた分子認識性を利用して水晶発振子基板上に均一性構造体を構築することを検討した。テトラポット構造の4分岐型DNA構造体を調製し、四面体ネットワーク形成によりダイヤモンド構造様のDNA集積膜を形成するように基板上に滴下したところ、集積膜の層数に応じて基板上の質量が増加すること、貯蔵弾性率および損失弾性率がそれぞれ増加することがわかった。この結果は基板上でDNAのネットワーク構造体が構築でき、その物性が層数に応じて弾性的になっていることを示しており、ネットワーク架橋が多くなればなるほど硬い構造になっていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非常に薄いDNAのナノゲル薄膜が基板上で設計通りに構築できていることを示すデータを、水晶発振子の質量増加、弾性率増加により得ることができた。 比較実験として、ネットワークを作らない配列を持つDNAを用いた場合や長さの異なるDNA鎖を用いた場合などではナノゲル薄膜形成は観察されず、矛盾のない結果が得られており、当初の目的であったDNAナノゲル薄膜の構築が確認できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
非常に薄いDNAのナノゲル薄膜は、精密な分子網目となっていると期待でき、これらを機能化させるため、作成した薄膜の基盤からの剥離および別の基板への転写が可能かどうか検討する。タンパク質など様々なサイズを持った分子に対する分子ふるい効果などを検討し、この薄膜のさまざまな応用法について模索する。
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Causes of Carryover |
年度末に購入予定の物品等が納期の都合上、次年度になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も使用するルーチンの物品等のため、当初の使用計画の変更等はない。
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Research Products
(7 results)