2014 Fiscal Year Research-status Report
ヘム要求性歯周病菌の「ヘム取り込み機構の解明」および「生育阻害剤の探索」
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25410176
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小崎 紳一 山口大学, 農学部, 教授 (40280581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿座上 弘行 山口大学, 農学部, 教授 (40263850)
永野 真吾 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60286440)
右田 たい子 山口大学, 農学部, 教授 (90159161)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘム |
Outline of Annual Research Achievements |
病原性細菌の中には生存に必須の鉄をヘムとして取り込むシステムを持つものがある。本研究は、細菌がヘムを取り込み、さらに、ヘムから鉄を取り出すプロセスを解明し、こうしたプロセスを阻害する化合物を細菌の増殖抑制物質として活用することを目的とする。26年度までに、我々は、仮性結核菌において菌体外に存在するヘムを捕まえて外膜の受容体へ運ぶ役割を担うHasAがヘムを掴む際に、Tyrとヘム鉄との配位結合、ならびに、Argとヘムとの相互作用(Argのグアニジウム平面とヘム平面との間のπ-πスタッキング、Argのグアニジウム基のプラス電荷とヘムのプロピオン酸側鎖のマイナス電荷との間の塩橋など)が重要であることを、結晶構造解析と分光法の手法を用いて解明した。さらに、菌体内に取り込んだヘムから鉄を取り出すために用いられていると考えられるタンパク2種類を同定することができた。また、歯周病源性細菌からも、菌体内に取り込んだヘムから鉄を取り出すために用いられていると考えられるタンパク1種類を同定することができた。こうした結果は、国内外の学会で発表するとともに、学術雑誌においても公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮性結核菌と歯周病源性細菌において、生存に必須の鉄取り込みに関与しているタンパク4種を同定し、その作用機構の解明が大凡完了している。こうした知見は、最終年度において、「こうしたプロセスを阻害する化合物を細菌の増殖抑制物質として活用する」という目的を達成するために役立てることができる。よって、概ね、順調に研究が進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度、ヘムに類似する化合物が、ヘムの菌体内への取り込みや、ヘムから鉄を取り出す役割を担うタンパクの機能を阻害するかどうかを検証するとともに、今のところ、未発見、未解明の歯周病源性細菌のヘモフォア、外膜受容体の同定にも取り組み、本研究の総括を行う計画である。
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Causes of Carryover |
該当年度の欠損株作成にかかった経費が、予定額よりも少なくて済んだため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、次年度作成予定の欠損株作成経費、ならびに、欠損株の機能解析に必要となる分光器の整備費用として使用させて頂く計画にしている。
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Research Products
(3 results)