2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒトアルゴノート2タンパクの機能構造に基づくsiRNAの最適化学構造の探索
Project/Area Number |
25410182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
藤井 政幸 近畿大学, 工学部, 教授 (60199297)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 核酸化学 / 遺伝子サイレンシング / 化学修飾siRNA / アルゴノート2 |
Research Abstract |
(1)MIDドメインの機能構造に基づく5’-末端修飾による最適siRNA化学構造の探索 1-1. 5’-末端のアミノ基修飾siRNAの合成と遺伝子サイレンシング効果の評価:siRNAのガイド鎖、パッセンジャー鎖、それぞれの5'-末端をアミノ基で修飾することにより、水溶液中でカチオン電荷を帯びるため、アルゴノート2タンパクのMIDドメインのカチオンポケットと静電反発を起こす。結果的に、アミノ基修飾した鎖はガイド鎖として取り込まれなくなり、アミノ基修飾しない鎖が有利に取り込まれるために、off-target効果を回避できると期待できる。実際に、5’-末端のアミノ基修飾siRNAを合成し、EGFP遺伝子のサイレンシングを評価したところ、パッセンジャー鎖のアミノ基修飾によりサイレンシング効果が大きく向上した。 1-2.5’-末端修飾siRNAの合成と遺伝子サイレンシング効果の評価:siRNAのガイド鎖、パッセンジャー鎖、それぞれの5'-末端水酸基をカルバモイル基で修飾してリン酸化されないようにすると、修飾した鎖はガイド鎖として取り込まれなくなり、結果的に修飾しない鎖が有利に取り込まれるために、off-target効果を回避できると期待できる。実際に、5’-末端修飾siRNAを合成し、EGFP遺伝子のサイレンシングを評価中である。 (2)PAZドメインの機能構造に基づく3’-末端修飾による最適siRNA化学構造の探索 化学修飾ヌクレオシドをsiRNAのガイド鎖3’-末端オーバーハング部位に組み入れることによりsiRNA二重鎖は解けにくくなり、off-target効果を回避できると期待できる。実際に、3’-末端修飾siRNAを化学合成し、その遺伝子サイレンシング効果を評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した下記4つの項目のうち(1)はほぼ達成し、現在(2)を50%程度達成している途上である。残り2.5項目をあと2年間で達成できる見込みであるので、研究はほぼ順調に進展しているといえる。 (1)MIDドメインの機能構造に基づく5’-末端修飾による最適siRNA化学構造の探索 1-1. 5’-末端のアミノ基修飾siRNAの合成と遺伝子サイレンシング効果の評価:siRNAのガイド鎖、パッセンジャー鎖、それぞれの5’-末端のアミノ基修飾siRNAを合成し、EGFP遺伝子のサイレンシングを評価したところ、パッセンジャー鎖のアミノ基修飾によりサイレンシング効果が大きく向上した。 1-2.5’-末端修飾siRNAの合成と遺伝子サイレンシング効果の評価:siRNAのガイド鎖、パッセンジャー鎖、それぞれの5'-末端水酸基をカルバモイル基で修飾したsiRNAを合成し、EGFP遺伝子のサイレンシングを評価中である。 (2)PAZドメインの機能構造に基づく3’-末端修飾による最適siRNA化学構造の探索 化学修飾ヌクレオシドをsiRNAのガイド鎖およびパッセンジャー鎖の3’-末端オーバーハング部位に組み入れた3’-末端修飾siRNAを化学合成し、その遺伝子サイレンシング効果を評価中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は平成25年度実施の項目を達成したのち、次の2つの項目を実施する予定である。 (1)hAgo-RNAコンジュゲートによる人工RNAi装置の創製 hAgo2のMIDドメインのLys906はsiRNAのガイド鎖5’-末端リン酸基に近接している。ガイド鎖5’-末端をアミノ基と反応するカルボニル基などの官能基で修飾したsiRNAをhAgoに取り込ませると、溶液中で自発的に共有結合を形成すると考えられる。Lys906のアミノ基をガイド鎖5’-末端と共有結合でつないだhAgo-RNAコンジュゲートを合成し、そのhTERTおよびbcr/abl遺伝子に対するサイレンシング効果を詳細に評価しながら、最適siRNA化学構造を探索する。siRNAは細胞内でのヌクレアーゼ分解により短寿命であるが、hAgo-RNAコンジュゲートは細胞内でより安定で大きなターンオーバーが期待でき、off-target効果も完全に解消されるため、優れた人工RNAi装置が創製できる。 (2)両親媒性ペプチドRLnによるsiRNAの無毒性細胞導入法の開発 両親媒性ペプチドRLn-siRNA複合体は細胞膜をよく透過し、ヌクレアーゼによる分解に対して耐性で、細胞毒性も全くない。その膜透過性を向上させるために長鎖脂肪酸、PEG、細胞認識糖鎖、ガン細胞特異的リガンド、シグナルペプチドなどとのコンジュゲートを化学合成し、その細胞膜透過性、細胞毒性およびサイレンシグ効率を評価する。従来から行っているhTERTおよびbcr/abl遺伝子に対するサイレンシング活性をリアルタイム定量PCRにより評価しながら、最適siRNA化学構造を探索する。
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